『スーツに似合うシンプルな時計が欲しい』『予算10万円で一目置かれる時計が欲しい』そう考える方は多いのではないでしょうか?
今回は、このブログに寄せられた相談を元に【予算10万円前後で一目置かれる、スーツに似合う時計】を紹介したいと思います。
この記事を読めば、どのようにして本当に満足のいく時計を見つけていくのか?そのロジックを学ぶことができます。
この記事を書いている僕は、腕時計愛好歴4年、有名雑誌の時計レビュー企画で1000通の中から大賞に選ばれたり、腕時計コンサルタントとして腕時計選びの相談を受け付けたりしています(無料)。
ケーススタディ企画は第二回目です。ちなみに、第一回目はこちらです→30歳男性スーツ仕事できれい目服好き必見!80万円以下おすすめ時計8選
目次
27歳男性からの相談内容
まず初めに、相談者さんの相談内容を要約して書きたいと思います。
※下の質問1~6は、僕がおすすめ時計を考える際に重要な情報(特に1~3)なので、必ず聞くようにしているものです。
実際に頂いた相談内容
1. 予算
10万円
2. ライフスタイル (どの場面で時計を使用するか。スーツ仕事?私服の系統は?休日の過ごし方は?など)
27歳、入社5年目、法務部、スーツに合う時計が欲しい
自転車や音楽活動が趣味。とりあえず、平日の私に合えば良いなと思っております。
3. ブランド (気になるブランドがあるかどうか)
ロレックス、グランドセイコー、セイコー
値段の割に高級感があり、
4. 腕のサイズや体型
腕のサイズは残念ながら、分かりかねるのですが、今も剣道をしている手前、太い方だと思います。
体型はXXセンチ、〇〇キロ。
5. コレクション (すでに時計を持っている方は、教えて頂ければ、コレクションのバランスから判断します)
上司から頂戴したSARY147プレザージュのみです。
6. タイミング (記念日やお祝いに買いたいかどうか)
大儀としては、婚約指輪のお返しですが本件とは関係が薄いです。
相談内容から判断できること
予算: 10万円
予算10万円ということで、僕の作成した表で狙うブランドを「古豪/おしゃれ新興級~エントリー級」に絞ることができます。
しかし「値段の割に高級感があり、
そうすると、「実用時計の最高峰級」までなんとか視野に入れることができます。
この表と各ブランドの解説について知りたい方はこちらです→1記事でわかる!時計ブランド44社の特徴と格付け 2020年度版
ライフスタイル: スーツ仕事とプライベートの両用
スーツに合う時計が欲しいとのことなので、選ぶべき時計のタイプは、以下の2種類になります。
・ドレスウォッチ: 時間が分かるのみのシンプルな時計。薄いため袖口への収まりがよく、フォーマル着に◎。だが、スポーティな場面には不向きで耐久性に少し難あり。基本的に革ベルト。
・3針スポーツウォッチ: ドレスウォッチに耐久性を持たせたもの。余計な機能は付けず、シンプルさを維持。ステンレスベルトが主流。フォーマル着~Tシャツまで守備範囲が広い。タキシードなどには△。
時計と服装の合わせ方の詳しい解説はこちらです→腕時計をおしゃれに着けこなすコツ【メンズの腕時計と服装の合わせ方】
ブランド: ロレックス、グランドセイコー、セイコー
ロレックスで10万円は難しいので、今回は見送りと致します。
グランドセイコーであれば、中古で10万円+αで買える個体がちらほらあります。
セイコーであれば、新品でも買えるでしょう。
各ブランドの特徴を一言でサクッと知りたい方は以下の記事がおすすめです。
あの人気時計ブランド16社の特徴を「漢字一文字」で表してみた
クルマ好き必見!時計ブランド18社を車のメーカーで例えてみた
アリ?ナシ?あの人気時計ブランドにキャッチコピーを勝手につけてみた
10万円前後で一目置かれる!スーツに似合うシンプルな腕時計10選
実際に、僕が相談者さんにプレゼンした10本の時計を並べていきます。
メールでのやりとりの際は、それぞれの時計の特徴や歴史など、長文で書いているのですが、今回ここでは要約して書きたいと思います。
ここでは特に「なぜこの時計が相談者さんに良いと思ったのか」について書いていきます。
1: グランドセイコー「61GS」
相談を受けて、まず初めに思い浮かんだ時計が、このグランドセイコー「61GS」です。
グランドセイコーの10万円+αで買える時計は1968年前後製のモデル「61GS」が多いようです。
そして、この年代グランドセイコーの特徴なのが「Hi-Beat 36000振動」です。
「Hi-Beatムーブメント」の系譜は今も脈々と受け継がれています。
その原点となった時計が10万円ちょっとで買えるのは非常にお得だと思います。
さらにデザイン面でも、「セイコースタイル」と呼ばれる、デザインが施されているのが見て取れます。
セイコースタイルとは平面を多く取り入れ、日本の「屏風」や「障子」のように、光と影、そしてそのグラデーションを利用して、より見やすく、美しくデザインする手法です。
ケースの形状や、アワーインデックス、針も平面を多く取り入れらています。そしてリューズのGSの彫刻も、深くくっきりとしていて高級感があります。
正直、10万円程度でこのレベルの手の込んだ加工やデザイン、輝きをしているブランドは、他にないと思います。
それくらい、世界に追いつき追い越そうという意思が伝わってきますし、実際に世界中で評価されています。
サイズは直径37mmと、現代のドレスウォッチとして最高のサイズです。
ドレスウォッチ最高峰のパテック・フィリップ「カラトラバ」やランゲアンドゾーネ「サクソニア」も37mmです。
相談者さんが、グランドセイコーに興味があるということと、剣道をされているということから、まずグランドセイコーを選んでみました。
グランドセイコーには、本当に日本のクラフトマンシップが詰まっています。
グランドセイコーは、「最高の普通を目指す」=「基本を極める」ことをモットーとしていますが、まさに日本の「道」の精神に通ずるものがあると思います。
凛として潔く、己に磨きをかけ続ける、それがグランドセイコーです。
スーツにもバッチリ合いますし、モノにこだわりがある玄人感満載なので、一見普通のようですが、見る人が見れば非常に評価が高い時計です。
グランドセイコーの、しかもアンティークをしている人がいたら、凄くセンスがいいなと僕は思います。
知ってた?あの有名時計ブランドのロゴと誕生秘話ベスト5で、グランドセイコーについて熱く語っています。笑
2. オメガ「シーマスター」
次に思い浮かんだのは、オメガ「シーマスター」です。これも1960年代製ですね。
シーマスターが生まれたのは1948年。
そのルーツは、第二次世界大戦時に、オメガがイギリス王立海軍や空軍に供給していた時計にさかのぼります。
タフな戦争では、防水性が求められ、裏蓋にパッキンが用いられていました。
シーマスターは、1948年に誕生した際、そのパッキンの技術を用いて、戦争でも活躍した防水時計として広告されて売り出されました。
おすすめポイントは「歴史の深いドレスウォッチ」「オメガというネームバリュー」「アンティークという玄人なチョイス」です。
サイズは35mmと、少し小さめですが、クラシックで僕はお洒落だと思います。
実際、私の周りでもオメガのアンティークのシーマスターを買った人が二人います。
海外のサイトでも、おすすめアンティーク時計として必ず紹介されるほど、高い人気を誇っています。
シュッとした直線を強調するグランドセイコーに比べ、シーマスターは丸っこく、柔和な雰囲気が漂うので、よりクラシカルで柔らかい雰囲気が好きな人におすすめです。
シーマスターについては、ダイバーズウォッチとは?選び方とおすすめベスト10【タフな相棒】で詳しく語っています。
3. セイコー「プレザージュ SARW035」
3番目に思い浮かんだのはセイコー「プレザージュ SARW035」です。
琺瑯を使ったセイコーのドレッシーな時計です。
綺麗な白色と焼きの入った青針のコントラストが上品でオシャレだと思います。
すでにシンプルなプレザージュをお持ちなので、パワーリザーブ付きのものを選んでみました。
リューズの形状も逆円錐のようで、つまみやすく、質感が高いです。
日本の伝統職人技が感じられる逸品で、非常にセンスが良いと思います。
僕もセイコーの時計は持っていて、大好きなブランドです。ロレックスの次にセイコーSKX007を選んだ理由【最強の2nd時計】で詳しく語っています。
4. セイコー「プレザージュ SARX029」
4番目に思い浮かんだのはセイコー「プレザージュ SARWX029」です。
漆を使った黒文字盤のドレスウォッチです。すでに白文字盤をお持ちという事で、黒文字盤も選んでみました。
通常、スーツに合わせる時計は白or銀文字盤の時計がベストですが、夜会やディナーでは黒文字盤の”Dinner Watch””Evening Watch”という概念も外国にはあるので、そういうシーンで活躍すると思います。
日本の伝統職人技が感じられる逸品で、非常にセンスが良いと思います。とてもクールな一本です。
5. ノモス「クラブ」
ノモスはドイツのメーカーで、デザインは機能に準ずるという概念を持つ“バウハウス”と呼ばれる芸術を時計に取り入れているブランドです。
そのため、非常にシンプルでクリーンなデザインをしており、ミニマリストに好まれています。
クラブは、その中でも少しポップな色使いとデザインで遊び心があります。
サイズもドレスウォッチとしては素晴らしいプロポーションで、100m防水も魅力です。
さらにシンプルなタンジェントというモデルもあります。
6. ユンハンス「マックスビル」
ユンハンスは、1861年創業のドイツブランドです。
こちらはバウハウス最後の巨匠と言われた彫刻家、故「マックス・ビル」氏が1962年にデザインした名品の復刻モデル。
ドイツデザインらしい、シンプルで機能的なデザインは、控えめでクラシカルな雰囲気を醸し出しています。
ケースバックには、マックスビル氏のサインが刻印されています。
サイズは38mmと、ドレスウォッチにはベストサイズ。
歴史的な名作でありながら、この価格で買えるのはかなり魅力的だと思います。
7. フレデリック・コンスタント「クラシック インデックス オートマティック」
フレデリックコンスタントは「手の届くラグジュアリー」というコンセプトを元にしているスイスのブランドです。
パテック・フィリップに在籍していた人物が関わっているとのことで、デザインはパテック・フィリップによく似たモノが多いです。
デザインが良いモノが多いブランドですが、特にこのモデルはパテック・フィリップの超名作「カラトラバ」によく似たデザインです。
ドレスウォッチとカラトラバについては、ドレスウォッチとは?選び方とおすすめベスト10【全ての紳士必見】で詳しく解説しています。
8. オリス「ビッグクラウン オリジナル ポインターデイト」
創業以来、100年以上機械式時計のみを作り続けているオリス。
オリスのビッグクラウンは1910年代、航空機の黎明期のパイロットへ供給していた時計がルーツになっています。
それが1938年に現在の形になりました。
もともとミリタリー感の強いパイロットウォッチでしたが、この時計は白文字盤にゴールド数字を配し、ドレッシーに仕上げています。
そのためスーツにもマッチすると思います。
コインエッジベゼルに、クラシカルなコブラ針、オリスのアイデンティティであるポインターデイトに、ギョーシェ彫りの文字盤など、この価格では有り得ないくらいの内容です。
オリスのパイロットウォッチバージョンのビッグクラウンの詳しい解説はコチラ→パイロットウォッチとは?選び方とおすすめベスト10【ロマンある時計】
9: ハミルトン 「イントラマティック」
ハミルトンから、アメリカンクラシックシリーズの「イントラマティック」を選出しました。
1960年に誕生したデザインをそのままに復刻したモデルということもあり、どこかレトロで柔らかい雰囲気が魅力的です。
自動巻きでありながら、サイズは直径38mm、厚さ10mmと、ドレスウォッチとして素晴らしいプロポーションを維持している点も、現代において貴重な存在です。
シルバーの文字盤にはサンレイ加工が施されていて、光の加減で表情が変化するので飽きがきにくいと思います。
また、シルバーということで、ビジネスシーンやシックなきれい目カジュアル服にも相性抜群です。
レトロな雰囲気が好きな方やアメリカが好きな方にもおすすめしたい時計です。
10. ハミルトン「ジャズマスター GMT」
少し、今までと毛色を変えてみました。
GMTという機能が付いています。文字盤周りに世界の主要都市名が記載されており、一目で世界中の都市が今何時なのかが分かるようになっています。
海外との仕事もあるかもしれないと思い、選択しました。自身が海外に行くときなどにも重宝する機能です。
どこで時計を買うのがベストか?中古はありか?
以上のように、10本の時計をプレゼンしたところ、最終的にグランドセイコーの「61GS」が欲しいということになりました。
そして、次に相談者さんが悩まれたのは、「どこで買うか」問題です。これは誰しもが悩むところだと思います。相談者さんには、詳しく説明したのですが、ここでは割愛します。
どこで買うのが良いのか?ネットで買うのは大丈夫なのか?中古品を買う時の注意点は?など、わかりやすくまとめている記事も書いていますので、おすすめです。
【重要】中古の時計を買う前に絶対にチェックするべきポイント5つ
腕時計の正規品と並行輸入品の違いとは?ネットで買うのはありか?
安く時計を買いたい方必見!あの高級時計を最も安く買う方法とは?
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、実際に僕が受けた相談と回答を例に、ケーススタディしてみました。
最終的に、相談者さんはグランドセイコー「61GS」を購入し、とても喜んでいただけました。
僕もとても嬉しかったので、実際に頂いたお言葉の一部を載せたいと思います。笑
「RYさんのメールを楽しみにしておりました。無料にもかかわらず、
ブログを楽しく拝見させて頂いております。ブログを通して、漠然とした憧れが具体的な夢に変わり、腕時計のある人生を理解できました。
私の上司も好きで拝見しているようでして、おそらくRYさんのブログで多くのファン、私のような初心に対してもアプローチが届いているかと思います。」
「ブログを通して、漠然とした憧れが具体的な夢に変わり、腕時計のある人生を理解できました。」という言葉が特に嬉しかったです。
今、腕時計をする意味【時計の認識が変わるかもしれない話】でも書いているように、腕時計は人生のパートナーだと考えています。それが伝わったからです。
一人でも、このブログで時計の魅力に気づいて頂けたのなら、本当にこのブログを初めて良かったと思いました。