『あの時計の評価ってどうなんだろう?』
時計の購入を検討してるとき、こんな風に思ったことはありませんか?
そんな疑問を解決するために【時計の通知表】と題して、色んな時計を独自の観点でレビューしていきます!
第5回目は【ヴァシュロン・コンスタンタン フィフティシックス】です。
この時計はネットで見てもそこまでグッとくるものがなかったのですが、先日実機を手に取ってみたところ、物凄く綺麗で驚きました。その内容を、速攻レビューをしていきたいと思います!
これを読めば、ヴァシュロン・コンスタンタン「フィフティシックス」のことが360度マルっとわかるようになります!
目次
【実機レビュー】ヴァシュロン・コンスタンタン フィフティシックスの評価は?
✔左欄: 評価対象の写真とその基本情報が載っています
✔右上欄: 「ブランド性」~「堅牢性/機能性」まで全10項目10点満点で評価しています
✔右下欄: 「堅牢性/機能性」の内訳です。全5項目2点満点で合計10点になります
✔右最下欄: 10項目の合計点(100点満点)と「堅牢性/機能性」を抜いた満足度%(ドレスウォッチなどは堅牢性面で不利なため設けた)
1. ブランド性: 私が作成した「腕時計ブランド格付け表」をベースに算出
2. 歴史/ストーリー: 対象時計のオリジナルモデルからの歴史の長さ・語れるストーリーの豊富さ
3. 外装/質感/ベルト: ベルトを含む外装の質感・仕上げの綺麗さ
4. ムーブメント/精度: ムーブメントの美しさ・精度・自社製かどうか
5. デザイン/サイズ: デザインの良さ・サイズ感の良さ
6. 操作感/心地良さ: 時計を付けた時の心地良さ・操作の簡単さ・心地良さ
7. 汎用性/使用範囲: 似合う服装の範囲・使用シーンの豊富さ。私が作成した「時計とドレスコード表」をベースに算出
8. コストパフォーマンス: 価格に対しての満足度
9. 資産価値: 購入価格or正規品と並行品の価格差・買取価格をベースに算出
10. 堅牢性/機能性: 内訳の総合点
10-1. 防水性: 30~50m防水で0.5点、200m防水で2.0点
10-2. 耐磁性: 4800A/mで1.0点、16000A/mで2.0点
10-3. 耐傷性: ステンレス、サファイヤガラス、セラミックなどで加点
10-4. 耐衝撃性: スペックや実体験で判断
10-5. 特殊機能: 基本的な機能以外に1個あれば1.0点、2個あれば2.0点
0. ヴァシュロン・コンスタンタンのフィフティシックスってどんな時計?
ヴァシュロン・コンスタンタンの「フィフティシックス」は、1956年発表の同社の自動巻き腕時計「リファレンス 6073」を再解釈して、2018年に誕生した“デイリー・ラグジュアリーウォッチ”です。
一見、あえて括るならドレスウォッチに分類されるかと思いますが、純ドレスウォッチではなく、どこかカジュアルな雰囲気が漂う時計です。
その理由はステンレス素材であること、アラビア数字を取り入れている事、日付表示がある事、40mmという大きさ、センターセコンド針があるからだと思います。
それゆえ、普段着にも合わせやすく、様々なシーンに使えます。
ヴァシュロン・コンスタンタンが「デイリー・ラグジュアリーウォッチ」と位置付けているのも納得のデザインです。
さらに、世界三大時計ブランドの時計としては破格の値段で発表され、世界を驚かせました。
その狙い通り、発表直後から世界的に人気が出て、実機がなかなか店頭に並ばない程です。
先日、幸いにも実機を触らせて頂く機会を得たので、どこよりも詳しく、速攻レビューをしていきたいと思います!
1. ブランド性: 9.5点
ヴァシュロン・コンスタンタンのブランド性は9.5点としました。
1755年に誕生し、継続経営している世界最古の時計ブランドとして世界三大時計に名を連ねています。
同社のポリシーは「ONE OF NOT MANY(少数精鋭であること)」「UNDER STATEMENT(控えめであること)」で、決して誇大広告はしません。
また、古くから王侯貴族や世界のセレブリティを顧客に持ちますが、それを積極的に明らかにしていません。
そんな姿勢から、「本当に時計が好きな愛好家向けのブランド」「目利き向けのブランド」というイメージがあります。
日本のヴァシュロン・コンスタンタンの愛用者はタモリさんや、秋元康さん、イチロー選手など、センス溢れる方が多いというイメージが私の中であります。
各ブランドのブランド性が気になる方は「1記事でわかる!時計ブランド44社の特徴と格付け 2020年度版」がおすすめです。
2. 歴史/ストーリー: 8.5点
歴史/ストーリーは8.5点です。
フィフティシックスの元となった「リファレンス6073」が誕生したのは1956年、約65年前のことです。
ヴァシュロン・コンスタンタンのHPには、その歴史について次のように書かれています。
“「フィフティーシックス」コレクションは、アイコニックなモデル「リファレンス6073」に捧げられたオマージュ。このモデルでは伝統への敬意と革新への意欲がしっかりと結びついていました。
ヴァシュロン・コンスタンタンが大切にするこの2つの融合は、現代的なエレガンスと親しみやすい雰囲気を併せ持つ洗練されたコレクションとして現在に受け継がれています。
力強い個性を持つコスモポリタンなスタイル。これこそが新しい「フィフティーシックス」のシグネチャーです。”(引用: ヴァシュロン・コンスタンタンHP)
このようにフィフティシックスは、2018年に発表されたものの、そのルーツは1956年にまで遡ります。
しかし一方で、個人的にはなぜこのリファレンス6073を選んだのか、その時計のバックグランドは何なのか、その辺のストーリーをもっと知りたいところです。
海外の文章なども読み漁りましたが、その辺は見つけられませんでした。
従って、このクラスのブランドとしては、少し低い8.5点としました(時計界全体でみれば十分高い点です)。
3. 外装/質感/ベルト: 9点
外装/質感/ベルトは9点です。
外装の質感はとても高いと思います。
画像だと分かりにくいですが、実物を見るとまるで魔法がかけられたように、トゥルンとした光沢というか光の反射があります。
ケースのエッジは角が立たないように丸みを持たせていますね。そうすることで、全体的に柔らかい印象を与えると同時に、着け心地の良さが増しています。
この時計の“デイリー・ラグジュアリー”というコンセプトにぴったりの形状と処理だと思います。
文字盤の仕上げもとても綺麗で、内側の円と、その側の円の仕上げを変えていてるところもさすがの業だと思います。
一方で、針やアワーインデックスの形状や処理は比較的シンプルですね。この辺りにコストカットが見え隠れしているかなと感じました。
また、裏蓋の文字やリファレンシャルナンバーなどの刻印は浅く、もっと深く際立たせても良いかなと思いました。
ベルトは、ややグレーがかった革ベルトで、カジュアルダウンに一役買っています。
尾錠はヴァシュロン・コンスタンタンのロゴマークであるマルタ十字が模られており、所有感を高めてくれるデティールだと思います。
よ~く目を凝らすと、ごくごく僅かにコストカットかな?と感じる部分がありますが、総じてレベルがとても高い外装の仕上げと質感だと思いました。
4. ムーブメント/精度: 8.5点
ムーブメント/精度は8.5点です。
フィフティシックスに使われているムーブメントは、Cal.1326というムーブメントです。
日本では「自社製」と書かいているサイトが非常に多いですが、私は疑問を持っていました。
自社製であればこの価格で収まるはずがないと思っていたのと、公式サイトにその表記がないからです。
海外のサイトをよく調べてみると、このムーブメントはカルティエが2012年に発表した「Cartier 1904 MC」というムーブメントをベースに、同じリシュモングループの「ValFleurier」社によってプロデュースされているようです。
最終的な組み上げや仕上げはヴァシュロン・コンスタンタンが行っているようですね。
精度は具体的な数値は出ていませんが、4振動というロービートなので、極めて高い精度ということではないと思います。
またパワーリザーブは48時間と、現代基準で考えればやや短いというところでしょうか。
これだけ考えると、点数はもっと低いのですが、何より素晴らしいのは「美しさ」です。
このムーブメントは、「ジュネーブシール」を取得していないのですが、それでも目を見張る美しさがあります。初めて見た時に、私は「おお~」と声を上げてしまいました。笑
そして、22金のゴールドのローターが特徴的ですね。部分によって異なる仕上げを持つマルタ十字を模っています。
この形状では、ローターが軽くなってしまうのですが、質量の高い22金を使う事で遠心力を高めています。
視覚に訴えるだけでなく、きちんとパワーも計算されているんですね。
このクラスの時計になると、パワーリザーブや精度よりもやはり美しさを求める方が多いと思います。
そういった意味では、価格的制限のある中で、実用性を多少は犠牲にしてでも、美しさを確保したのは正解だと思います。
5. デザイン/サイズ: 10点
デザイン/サイズは10点満点です。
私がこのフィフティシックスの中で、もっとも凄いと思うのはデザインです。
まずケース形状から見ていくと、この時計の元となった「リファレンス 6037」の形状をうまく取り入れ、現代的に昇華していると思います。
四隅のラグを組み合わせると、マルタ十字になるという隠された記号も洒落ていますよね。
そして、地味に利いているのがリューズガードです。
この時計のコンセプトは「デイリー・ラグジュアリー」。つまり日常的に使われることを想定しています。
そのため、壊れやすいリューズをガードする必要があるんですね。
しかし、スポーツウォッチのようにごついガードを着けたら全体のバランスが崩れてしまう。
そこで、全体のバランスを崩さないように、僅かにリューズを覆うよう3時側のケースが張り出すようになっています。
コンセプトに則った、実に見事な意匠だと思いました。
次に文字盤についてです。
かつての「リファレンス 6037」とは異なり、アラビア数字が用いられています。そうすることで、カジュアルダウンし、対応できるシーンの幅を広げているんですね。
前回「ショパール アルパインイーグル」をレビューしましたが、アルパインイーグルの場合は“スポーツウォッチ”を”ドレスアップ”するために「ローマ数字」を使っていました。
今回のフィフティシックスの場合は、その逆です。
“ドレッシーな時計”を”カジュアルダウン”するために「アラビア数字」を使っています。
そしてそのアラビア数字をさらに丸みを持たせてカジュアルにしています。
そのおかげで、タキシードからデニム、Tシャツにまで似合うようになっているんですね。
これも”キープ・コンセプト”な見事なデザインだと思います。
そして、文字盤の外円と内円の仕上げを変えて、単調にならないように工夫が施されています。
個人的には「日付表示」は要らないのですが、これもデイリー・ラグジュアリーというコンセプトに照らせば、日付表示は必要でしょう。
入門機として価格をここまで抑えておきながら、実に見事なデザイン。大老舗の匠の技には恐れ入るばかりです。
6. 操作感/心地良さ: 9.5点
操作感/心地良さは9.5点です。
リューズ操作はできませんでしたが、着け心地は抜群に良いですね。
厚さ9.6mmと、10mmを下回ります。そのため、とても軽いです。
またケースのラグ形状が腕にフィットするようにカーブを描いており、エッジの処理も丸められている事からフィット感が抜群です。
7. 汎用性/使用範囲: 9.5点
汎用性/使用範囲は9.5点です。
フィフティシックスの汎用性は極めて高いです。
上の表で言うと、ドレスウォッチに分類したいところですが、この時計に関しては「カジュアル」の欄も「◎」だと思います。
アウトドアは「△」でしょうか。したがって9.5点です。
汎用性が10点になる時計は、ほぼ無いと言えると思います。今のところ私が思い当たるのは1本しかありません。
そう考えれば、この9.5点というのがいかに高い汎用性を示しているかがわかると思います。
時計とファッション・TPOの組み合わせについてより詳しく知りたい方は、あなたは大丈夫?TPOをわきまえたセンスある大人の時計選びがおすすめです。
8. コストパフォーマンス: 10点
コストパフォーマンスは10点です。
この時計の真髄だと思います。
定価では約128万円。並行輸入では、現在約122万円ほどです。
確かに高額ではありますが、総合的に非常に満足度が高いです。
そればかりでなく、世界三大時計が120万円代で買えること自体が、物凄いバーゲンプライスだと思います。
したがって、コストパフォーマンスは10点です。
9. 資産価値: 9点
資産価値は9点です。
「フィフティシックス 4600E/000A-B442」の定価は約128万円。
現在購入できる並行輸入の新品は約122万円。新品に対しておよそ95%の価格です。
価値の持続性という観点では、現在次点では若干下がるようです。
しかし、その他のブランドの時計はこれ以上に激しく下がるものが多くあるので、かなり価値を維持していると思います。
また、発売して間もなくなので、今後どうなっていくかわかりません。
しかし、私個人の感覚としては、もう少し下がりそうかな?という感覚です。
というのも、今世界のトレンドは「スポーティ」です。
これは時計に限らず、クルマ(SUV)やファッション(ジャージやスニーカー)、ライフスタイル(ジムやフィットネス)に至るまでです。
その結果、近年のラグスポ時計の高騰に繋がっていると私は見ています。
現在価格.comでは、8本新品の並行輸入品が出ていました。このクラスの時計としては、やや多めだと思います。
つまり需要より供給が多い状態ですね。そうなればじわりじわりと価格が下がってくるのは自然の流れです。実際上の表を見てもじわりと下降していますよね。
しかし、そこはヴァシュロン・コンスタンタンというネームヴァリューがあるので、暴落する可能性は低いと思います。
また、ドレス寄りの「デイリー・ラグジュアリー」時計は、市場に多くはありません。製品自体もとても良いので、その点からも大幅に下がることはないでしょう。
もしそうなれば非常に”買い”の時計です。今後の価格推移に注目したいと思います。
10. 堅牢性/機能性: 4点
堅牢性/機能性は4点です。
フィフティシックスの堅牢性/機能性は、ドレスウォッチとしては平均的といったところでしょうか。
それぞれの評価項目について見ていきましょう。
10-1. 防水性: 0.5点
防水性は0.5点です。
フィフティシックスの防水性は3気圧防水です。水気には気を配った方が安全でしょう。
このジャンルの時計としては、平均的だと思います。
10-2. 耐磁性: 0.5点
耐磁性は0.5点です。
調べてみても、フィフティシックスの耐磁性に関する記述は見当たりませんでした。
10-3. 耐傷性: 1.5点
耐傷性は1.5点です。
フィフティシックスにはステンレスが使われており、が使われており、風防には傷に強いサファイヤクリスタルが使われています。
ゴールド製のモデルもありますが、ゴールドは比較的柔らかいので、耐傷性は1点です。
10-4. 耐衝撃性: 1点
耐衝撃性は1点です。
スペック上では特に衝撃に強いという文言は見当たりません。
ケース厚さが薄い分、衝撃に弱い可能性がありますが、判断材料が無いので平均的な値にしています。
10-5. 特殊機能: 0.5点
特殊機能は0.5点です。
時間を見るだけのシンプルな時計です。日付表示があるのみで、その他特殊な機能は備わっていません。
ドレスウォッチは、シンプルさが売りなので、これが正解だと思います。
【採点結果】総合点: 87.5点 満足度: 93%
ヴァシュロン・コンスタンタン「フィフティシックス」の採点結果は………「総合点87.5点」「満足度93%」となりました!
こうしてみると、全体的に完成度が高い時計ですね。
特に「ブランド性」「デザイン」「着け心地の良さ」「汎用性」「コストパフォーマンス」に秀でています。
一方で「ストーリー性」「ムーブメント」「堅牢性」は比較的低めです。
しかしムーブメントは非常に美しいですし、ドレスウォッチに堅牢性を求めるのは酷です。
満足度93%という値は、堅牢性/機能性を抜いた場合の値です。今回のようにドレッシーな時計では、この満足度の値の方がフェアと言えます。そう考えれば、総合結果は「93%」。
非常に高得点です。そして納得できるだけのクオリティがフィフティシックスには備わっています。
今回レビューした「フィフティシックス」が最安値で買えるお店はコチラです↓
あとがき
如何だったでしょうか?
ヴァシュロン・コンスタンタンの「フィフティシックス」のレビューをさせて頂きました。
フォーマルスーツからデニムにTシャツで合わせても非常にかっこいいので、個人的にもぜひ欲しい一本です。
私が試着した時はデニムだったのですが、意外にも凄くしっくりハマったので驚きました。
皆さんの時計選びの参考になれば嬉しいです。
もしまだ腕時計選びで悩んだり、迷っているようでしたら「たったの3ステップで理想の腕時計を見つける方法」をまとめたので、これを読めば理想の時計にぐんっと近づけると思います。
これからも色んな時計をレビューしていきたいと思います。
この時計を採点して欲しいなどありましたら「問い合わせ」からコメント頂けたら嬉しいです。
それではまた!ありがとうございました。