『ダイバーズウォッチって何?』『選ぶときのポイントは?』『おすすめモデルは?』
こんな疑問をお持ちではないでしょうか?
そんな疑問を解決するため、本記事は【ダイバーズウォッチとは何なのか?選ぶときのポイント3つ、おすすめモデルベスト10】を紹介します。
この1記事で、ダイバーズウォッチの全てを網羅的に学ぶことができます。
この記事を書いている僕は、腕時計愛好歴4年、有名雑誌の時計レビュー企画で1000通の中から大賞に選ばれたり、腕時計コンサルタントとして一人ひとりにぴったりの腕時計を見つけるお手伝いをしています。
僕は今でこそ、大の時計好きですが、初めの頃は「ダイバーズウォッチって何?」「どんなモデルがあるの?」とわからないことだらけでした。
そこから色々と調べて、今ではダイバーズウォッチの特徴や、選ぶときのポイント、おすすめモデルまで選べるまでに至りました。
この記事では、私のダイバーズウォッチに関する知識をぎゅっとまとめたので、参考になれば嬉しいです。
目次
1. ダイバーズウォッチとは?
1-1. 特徴
✔水に強く、磁力や衝撃にも耐性がある
✔人気ジャンルのため、各ブランドの売れ筋は終結している
✔街中からアウトドア、オフィスカジュアルから水着まで合わせやすい
文字通りダイバーの為に作られた時計。時計の大敵である水に耐える為、分厚く大きいモデルが多い。
外見上の一番の特徴として、潜水開始からの経過時間が分かる回転ベゼルが備えられている。
人命に関わる潜水器具の一つであることから、時計の種類としては唯一、ISOやJISで工業規格が定められている。
そのため水だけではなく、磁力や衝撃にも比較的強く出来ている。
非常に人気があるジャンルなので、各ブランドの売れ筋が集結している。
街中にもアウトドアにも馴染み、色々な服装と合わせやすい。初心者にもおすすめのタイプ。
1-2. 歴史
✔1926年 ロレックスの「オイスター」が世界初の”防水時計”として登場
✔1930年代 パネライの「ラジオミール」が”潜水時計”としてイタリア海軍に納入
✔1953年 世界初のダイバーズウォッチ ロレックスの「サブマリーナー」とブランパンの「フィフティファゾムス」が登場
現在では、時計を付けたまま泳ぐ、潜る、シャワーを浴びる、手を洗うという行為はごく当たり前ですが、ここに行き着くには、時計の進化の道のりがあります。
かつて時計にとって水は大敵でした。まして、時計をつけたまま泳ぐという事は不可能でした。
しかし、1926年に世界初の”防水”時計が発表されます。それがロレックスの「オイスター」です。
このオイスターは、時計のケースを金属をくりぬいたワンピース構造にし、裏蓋やリューズはねじ切りして締め込み式にすることによって防水性を高めました。
ロレックスはこれをドーバー海峡を泳いで渡るという記者 メルセデス嬢に託します。
メルセデスは見事ドーバー海峡を泳ぎ切り、ロレックス オイスターもまた精確に稼働していました。
この出来事は新聞で大々的に報じられ、防水時計=ロレックスの印象が世間に定着します。
1930年代には、パネライがイタリア海軍の特殊潜水部隊の要請に応じて潜水ミッションに耐えうる時計、「ラジオミール」を開発します。
当時のパネライは防水技術が無かったため、ロレックスに技術提供をしてもらっていたという話もあります。
第二次世界大戦が終わって間もなく、1953年に2つの世界初の”ダイバーズウォッチ”が誕生します。
ロレックスの「サブマリーナー」とブランパンの「フィフティファゾムス」です。どちらも100m防水を備えていました。
ブランパンはフランス海軍の要請でダイバーズウォッチを開発し、ロレックスの時計はイギリス海軍に納入されました。
どちらも軍用で使われていましたが、映画で一般認知度を広げているのも面白い偶然です。
「フィフティファゾムス」は、フランスの海洋学者で水中呼吸器のスクーバの発明者の一人、ジャック=イヴ・クストーが深海ドキュメンタリー映画『沈黙の世界』(1956年)で着用し、作品がカンヌ映画祭で最高のパルムドールを受賞しました。
「サブマリーナー」は、スパイアクション映画『007』シリーズで初代ジェームズ・ボンド役のショーン・コネリーが「サブマリーナー」の初期モデルを着用したことが有名です。
どちらを世界初とするかは難しいところですが、この2つがダイバーズウォッチの始祖と言えるのは間違いありません。
その後、各ブランドから相次いでダイバーズウォッチが誕生します。
1950年代後半には、オメガのシーマスターとブライトリングのスーパーオーシャンが誕生し、1965年には日本で初めてのダイバーズウォッチがセイコーから誕生しました。
その後も、各社性能を上げ続け、海底探査や軍事ミッション、レジャーダイビングなど、人類活動に大きく貢献しています。
1-3. 個人的所感
✔ダイバーズウォッチは車で言うSUV
✔都会や山岳、海にも似合う懐の広さ
✔頑丈なので、初めての機械式時計にもおすすめのジャンル
ダイバーズウォッチは、クルマで言うところのSUVだと私は思っていて、街でも自然の中でも見事に調和する懐の広さを持っていると感じます。
防水性が高く、頑丈であり、合わせられる服の幅が広いため、初めて機械式時計を買うと言う方にも安心しておすすめできます。
一方、フォーマルスーツには少し目立ちすぎてしまうきらいがあると思います。
そのため、ダイバーズウォッチとドレスウォッチを持っておけば、ほぼ全てシーンで対応できる「万能コレクション」を作ることができ、おすすめの組み合わせです。
ダイバーズウォッチはどんな服に似合うのか気になる方は、以下の記事もおすすめです。
2. ダイバーズウォッチを選ぶときに見るべき3つのポイント
✔防水性
✔ベゼル
✔視認性(夜光塗料)
2-1. 防水性
ダイバーズウォッチの最大の強みである防水性は、まず確認しておきましょう。
最低要件は100m防水です。200mもあれば潜水(素潜り)をしても大丈夫です。
中には、ダイバーズウォッチ風でありながら要件に達しない防水性しかないものもあります。それらはダイバーズウォッチとは呼べないので注意しましょう。
上位機種は防水性が300m,500mとどんどんスペックが上って行きますが、その反面サイズが大きくなりすぎる傾向があります。
自身の使用用途や服装、体格と合わせて考えてみてください。
個人的には「300m防水」が一番バランスがとれていて好みのスウィートスポットです。
2-2. ベゼル
ベゼルとは、ダイバーが潜った経過時間を測る事が出来る機能。ダイバーズウォッチの一番の特徴です。
実は日常生活でもかなり役立ち、使う事が多々あるので、回し心地も確かめてみてください。
中には用も無いのにベゼルを回してしまう程、心地良いベゼルもあります。笑
ほとんどのベゼルが1周するのに、60クリックか120クリックです。
ここがセラミック製だと傷に強く光沢感が出て高級感が増します。
1960年代のダイバーズウォッチは、ベゼルが文字盤のなかに組み込まれているものが多く、クラシカルでドレッシーな雰囲気になります。
2-3. 視認性(夜光塗料)
暗い深海深くまで潜るダイバーにとって、時計の視認性は重要事項です。
そのためダイバーズウォッチには夜光塗料が多く用いられ、暗闇での視認性に優れています。
そのためインデックスは数字ではなく、ドットやマークなど夜光塗料多く盛れるデザインになっています。ぜひ暗闇での視認性も確認してみてください。
3. ダイバーズウォッチ おすすめベスト10
第1位: ロレックス「サブマリーナー」
✔歴史的意義と豊富なストーリー性
✔圧倒的な精度と耐久性
✔高い品質と資産価値
ダイバーズウォッチおすすめ第一位は、やはりロレックスのサブマリーナーを選びました。
やはりダイバーズウォッチのアイコンであり、原点にして頂点と言えると思います。
1953年の初登場から、デザインはほぼ変わらず現在まで続いていおり、まさに永世定番と言えるでしょう。
世界中の男たちの憧れジェームズ・ボンドの時計としても有名です。
防水性能は300mと必要十分。
ロレックスの厳しい自社規格を通している為、精度はクロノメーター以上で、日差は驚異の+/-2秒以内。
さらに、使用しているステンレス素材は904Lというもので、傷や錆に非常に強い特別なステンレスです(これを扱う事ができる時計メーカーはロレックスだけと言われています)。
大ぶりな時計が多いこのジャンルで、サイズは40mmとベストサイズなのも嬉しい点です。
資産価値も高く、中古品でさえ、新品よりも高値で売られていることが珍しくありません。定価で買う事が出来れば、その時点で利益が出るほどです。
つまりそれだけ、世界中で人気で手に入りにくく、より高いお金を払ってでも欲しいという人が後を絶たないという事です。
私は2016年に運よく正規店で購入することができました。
その時の様子や、使用レビューはまた後日記事にしたいと思いますが、この時計に出合ってから、時計の世界に惹きこまれたほど素晴らしい時計だと感じています。
歴史・ステータス・精度・頑丈さ・サイズ感・扱いやすさ・資産価値など、全ての項目で高得点を出せる時計は極めて稀な存在です。
サブマリーナーはまさしく、そのど真ん中を行く時計であり、今後もそれが崩れることはないでしょう。
2位 オメガ「シーマスター ダイバー300M」
✔豊富な歴史とストーリー性
✔圧倒的な耐磁性とコスパの高さ
✔ランニングコストの安さ
現在のジェームズボンドの時計でもあるオメガのシーマスター ダイバー300Mを第二位に選びました。
オメガのシーマスターが登場したのは1957年のことです。そこから色んな種類の派生モデルが誕生していますが、最も一般的で人気なのがこの「ダイバー300M」というシリーズです。
ダイバー300Mシリーズは1993年に初登場し、2018年に3世代目となる現行機が誕生しました。
この新型シーマスターダイバー300Mは2018年にモデルチェンジを行ったのですが、偉大なる先代の後継機ということで大きな注目を集めました。
そして、見事に先代の高いハードルを越え、世界中で称賛されている時計です。
まずぱっと見て印象的なのが文字盤に盛り込まれた波模様です。
これは初代シーマスター ダイバー300Mの波模様を復刻しており、ファンにはたまらないディティールとなっています。
また、ドットのインデックスや針など、どこを見ても、気持ち良いほどにエッジが際立っており、高級感が漂います。
外見もさることながら、この時計の凄いところは内部のムーブメントにあります。
コーアクシャルCal.8800は、同社の「マスタークロノメーター」という新基準をクリアし、オーバーホールは8~10年に一度という長寿命を実現。
耐磁性はMRIに入れても大丈夫という程、圧倒的な強さを誇ります。
これほど充実した内容で、新品定価50万円代で買うことができるというのは信じられない程です。
英国海軍採用から、深海探査、映画のスクリーンまで偉大な歴史を紡いできたシーマスター。
決して留まることなく、(まさに社名の通り)究極を求めて前進し続けるオメガのシーマスター ダイバー300M、とてもおすすめです。
3位 パネライ「ルミノール」
✔ユニークな歴史とストーリー性
✔パネライならではの柔らかい雰囲気
✔一目でわかるアイコニックな見た目
ダイバーズウォッチを語るうえで、外す事ができないのがパネライです。
世に言うダイバーズウォッチが誕生したのは1953年ですが、実はそれ以前に、既に潜水で使われている時計が存在しました。それが、パネライの「ラジオミール」です。
パネライの歴史は特に面白いので、少し紹介したいと思います。
パネライは1860年にイタリアで時計店および時計学校として創業されました。
1936年、パネライはイタリア海軍の要請で特殊潜水部隊のための時計「ラジオミール」を開発します。
当時時計は戦果を左右するほどの重要物であり、ラジオミールは軍事機密事項としてイタリア海軍のみに納入をし続け、市場に出ることはありませんでした。
しかし、1990年代に冷戦が終わり、平和な時代が訪れると、徐々に軍需規模は縮小し、パネライはいよいよ民生品を作り始めます。しかし、知名度はゼロでした。
そんなあるとき、一人の映画俳優がパネライの時計を気に入り、オーダーしては知人に配ったりしていました。その俳優こそが、あのシルベスター・スタローンです。
そして、1997年、彼の配った時計がリシュモングループのお偉いさんの目に留まり、パネライは名門リシュモングループ入り。
翌1998年の国際展示会で鮮烈なデビューを果たし、2000年代のデカ厚時計ブームを巻き起こしました。
1860年の創業から140年間日の目を見ることがなかったパネライ。
それゆえに独自の形状、独自の技術で進化していき、それが日の目を浴びた瞬間に世界でブレイク、鮮烈のデビューという背景が個人的には大好きで、パネライを所有することの一つのおすすめポイントでもあります。
さて、そんな個性的な歴史を持つパネライですが、現在大きく3つシリーズを展開しています。「ラジオミール」「ルミノール」「サブマーシブル」です。
ラジオミール: 1930年代から続くモデル。クラシカルなラインナップ。
ルミノール: 1950年代に誕生したラジオミールから派生したモデル。特徴的なリューズガードが付いている。
サブマーシブル: 近年誕生したダイバーズモデル
この中でもルミノールをおすすめする理由としては、
1. パネライならではのアイコニックな形状をしている
2. パネライならではの特徴的なリューズガードが付いていて頑丈
3. 大型が多いパネライのなかで、40mmサイズがある
4. 革やラバー、金属などベルトの種類が豊富
です。
ルミノールの中でも、「PAM1048」という時計は、40mmと非常に扱いやすいサイズであり、日付表示の丸窓がとてもよいアクセントになっていて、個人的に一番欲しいモデルです。
4位 ロンジン「レジェンドダイバー」
✔クラシカルでスマートなルックス
✔きれい目からカジュアルまで対応できる万能さ
✔高いコストパフォーマンス
1832年創業の老舗のロンジンから「レジェンドダイバー」を第4位に挙げたいと思います。
ロンジンは、第一回オリンピックの公式時計や、現存する日本最古のロンジンの時計は西郷隆盛のモノなど、古くから高品質の時計を作っていたことで知られています。
また近年はその豊富な歴史を活かし、”復刻時計”や過去の時計のリファインモデルを多く作り、話題を呼んでいます。
近年の時計業界の”復刻時計”ブームを生みだしたのもロンジンであると言われています。
そんなロンジンの1960年代に活躍したダイバーズウォッチ「レジェンドダイバー」が近年復刻されました。
ダイバーズウォッチの一番の特徴と言えば、潜水時間を計測する”回転ベゼル”ですが、1960年代のダイバーズウォッチはこのベゼルがケースの内側に配置されていたことが特徴です。
そのため、通常のダイバーズウォッチよりも大きさが抑えられ、ドレッシーでスマートにつけることができます。
またクラシカルな雰囲気が漂うので、人とは違う雰囲気を出したいという方にピッタリです。
このタイプのダイバーズウォッチはあまり数多くないのですが、このレジェンドダイバーは最有力候補だと思います。
しっかりとした歴史的背景があり、300m防水も備えて、文字盤も当時のクラシカルさを存分に醸し出してくれています。
それでありながら、比較的低価格で購入でき、非常に商品力が高いです。
時計愛好家からも一目置かれる存在であり、この時計をしていると、「真に時計が好きな人」という印象を持たれやすいでしょう。
ベルトは、クラシカルなメッシュ金属ベルトや革ベルトが選べるのも嬉しいポイントですが、個人的にはカーキのNATOベルトをしてもオシャレだと思います。
老舗のクラシカル時計でありながら、実はお洒落万能プレーヤーというレジェンドダイバー、かなりおすすめの一本です。
5位 チューダー「ブラックベイ58」
✔ロレックス譲りの高い品質
✔ユニークな歴史と将来性の高さ
✔クラシカルで親しみやすい雰囲気
ロレックスの兼価版ブランドとして1926年に生まれたチューダー。
その名前とかつてのバラのロゴは、イギリス国民に愛されるようにと、エリザベス女王を排出した名門チューダー家から来ています。
今では天下のロレックスですが、創業当初はまったく時計が売れず苦労したと言います。理由は価格が高すぎたこと。
そこでロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフは、ロレックスに安い汎用ムーブメントを使って販売することを思いつき、ロレックスのセカンドラインであるチューダーを創立しました。
そのため、かつてのチューダーにはロレックスのパーツが流用されたりしていました。
1990年代に入ってからは兄貴分であるロレックスとは違う独自路線を展開し、今や中価格帯の中心ブランドともいえる存在にまで成長しています。
そんなチューダーの中でも高い人気を誇るのが、ダイバーズウォッチであるブラックベイ58です。
その見た目や形は、偉大な兄貴ロレックスのサブマリーナーを踏襲しつつも、独自のデザインエッセンスを加えています。
他のダイバーズとは違う、どこかクラシカルで親しみやすい雰囲気は持って生まれた弟感からなのでしょうか。
他者を威圧することなく、大きく見せることなく、すっきりと腕に収まり品質の良さを感じさせます。
私も数々の時計を見て見てきましたが、この価格帯で最も訴えるものがあったダイバーズウォッチの一つである事は間違いありません。
日本に正式に展開されたのは、2018年とつい最近のことなので、あまり知名度はまだあまり高くありませんが、その高品質さとコスパの良さから、これからますます人気になっていくと個人的には思っています。
6位 ブランパン「フィフティファゾムス」
✔歴史的意義と豊富なストーリー性
✔漂うクラシカルさと玄人感
✔ブランパンというステータス性
現存する世界最古の腕時計ブランド、ブランパン。
そのブランパンから1953年に世界初のダイバーズウォッチが誕生します。それが、「フィフティファゾムズ」です。
約100mの防水性能を持っていました(フィフティファゾムズとは300フィート、つまり91.5mを意味し、当時使われていた装備でダイバーが潜ることのできた最も深い水深)。
この時計は第2次世界大戦中に英国諜報部員であり、その後フランスの軍事潜水部隊のリーダーとなったボブ・マルビエ船長の依頼により作られたものです。
彼はブランパンに、ブラック文字盤と大きなアラビア数字、クリアな表示、そして回転式ベゼルを備えた時計を作るよう依頼しました。
“マルビエ船長は後に、「我々が求めた文字盤上のマーカーは、羊飼いを導く星のようにあってほしかったのだ」”と語っているといいます(webChronosより)。
同じく1953年に誕生したロレックスのサブマリーナーが抜群の認知度を誇るのに対し、本当の時計好きか知らないフィフティファゾムス。
にじみ出る品の良さとクラシカルな雰囲気が玄人好みで、歴史の重みを感じさせてくれる歴史的一本です。
7位 ジン「U1」
✔プロ仕様の圧倒的な頑丈さ
✔他社には無いユニークな特殊機能の数々
✔ジンという玄人感
Sinn(ジン)というブランドを知っているでしょうか?時計好きでもなかなか知る人は少ないと思います。
それもそのはず、ジンは売り上げのほとんどを広告費ではなく、研究・開発費に充てているため、認知度は低いのです。
しかし、究極の計器としての時計を日々開発しているドイツのブランドです。
正式名称はSinn特殊時計会社。
その名の通り、他のブランドでは実現できないような特殊機能を研究・開発し、時計に落とし込み、世界各国の特殊な環境で働く者たちの心強いパートナーとなっています。
なぜ広告費を割いてでも研究・開発にお金を投じるのか?それには創業者ヘルムート・ジンの経験が関係しています。
ヘルムート・ジンは1916年生まれのドイツ軍パイロットでした。大戦中に負傷した彼は、その後パイロット教官となります。
彼はパイロットの命を守るのは「正確な計器」だと身をもって経験したことで、1961年、特殊な環境でも正確に時を刻むを作るための会社「Sinn特殊時計会社」を創業します。
彼は社長でありながら、出荷される時計の一つ一つを自ら検品していたと言います。
そのこともあってか、「ジンの時計は壊れない」という評判を獲得し、西ドイツ軍をはじめとする、NATO各軍でも使われるようになりました。
ジンはパイロットウォッチを得意としていますが、ダイバーズウォッチも非常に高い評価を受けています。
その証として、潜水器具として過酷な条件下での試験を実施し合格することで、DNV GLという世界最大級の船級機関に承認されている唯一の時計です。
そんなジンのダイバーズウォッチの中でも、同社のアイコン的存在である「U1」をおすすめに挙げたいと思います。
このU1はドイツの潜水艦Uボートの外板と同じ鋼材で作られています。その為、傷や錆にとても強く、さらに防水性能は1000mもあり、とても強固な時計です。
ダイバーズウォッチとしては珍しい赤色が所々に配色されていますが、これは深海に潜った時に見えなくなる色で、深海でダイバーに余計な情報を与えないようにという配慮から来ているものです。
また他社のダイバーズとは異なるデザインがアイコニックでいいなあと思います。
まだまだ紹介したいジンならではの特殊機能がたくさんあるのですが、ここでは割愛します。
気になる方は、ぜひジンに行ってカタログを貰ってみてください。私も持っていますが、読んでいるだけでワクワクするような機能の紹介がたくさんあって、読み物としてとても面白いです。
P.S: ヘルムート・ジンさんは2018年の2月14日に亡くなられました(102歳)。もし時計界で誰かひとりに会えるなら、私はヘルムート・ジンさんに会ってみたいと思っていたので非常に残念です。
(前回のドレスウォッチの記事でも紹介したランゲアンドゾーネといい、ドイツ時計に関わる方々はなぜこうも魅力的な方が多いのでしょうか)
8位 タグホイヤー「アクアレーサー」
✔軽快さとスマートさ
✔自社ムーブメントによる薄さ
✔比較的手の出しやすい価格
クロノグラフを中心として、総合力の高いブランド タグホイヤーのダイバーズウォッチ アクアレーサーを第9位に挙げたいと思います。
クロノグラフやモータースポーツとのつながりが強い印象のタグホイヤーですが、実は1892年に懐中時計の防水ケースで特許も取っているメーカーでもあります。
そんなタグホイヤーの「アクアレーサー」は、セラミックを使い、耐傷性を持たせつつ、高級感を感じる仕上がりになっています。
しかも、41mmというサイズ感も大きくなりやすいダイバーズウォッチの中では良い点です。さらに薄さも確保し、スマートさに優れています。
このダイバーズウォッチでは貴重な、きれい目に着ける事が出来る時計であると思います。
カラーやストラップ、サイズの展開も豊富で選ぶ楽しさがあるのも良い点です。
比較的手の出しやすい価格でありながら、しっかりとしたブランドなので、アフターケアも安心できます。
タグホイヤーは、ロレックス、オメガに次いで3番目に日本で人気のあるブランドのため、多くの方の購入検討対象に入ってくるのではないでしょうか。
私も、ネームバリュー、サイズ感、セラミック使用、自社ムーブメントであることなどを考えて、この価格なら相当商品力は高いと思います。
9位 オリス「アクイス」
✔時計好きのチョイス感
✔オリスならではのラバーベルト
✔比較的手の出しやすい価格
オリスは1904年に創業されたブランドで、一度もクォーツ時計を作らずに、機械式時計のみを作る事にこだわり続けているブランドです。
パイロット時計やモータースポーツ時計など総合的に機械式時計を展開しています。
ダイバーズウォッチにおいては、この本格ダイバーズウォッチの「アクイス」と、1965年に発表された同社のダイバーズウォッチを復刻した「ダイバーズ65」などが展開されています。
このアクイスは、300m防水性能やセラミック素材を使うなど、現代のダイバーズウォッチに求められる基準を十分にクリアしているのみならず、シースルーで同社のアイコンであるレッドローターを見ることもできます。
さらにカラーやサイズ展開も豊富で、細かいニーズに応えることが可能です。個人的には、アクイスのラバーベルトがとてもカッコいいと思っています。
また比較的お求めしやすい価格も魅力の一つです。
10位 セイコー「SKX007」
✔圧倒的なコストパフォーマンスの高さ
✔世界中の愛されもの
✔ダイバーズウォッチのベストエントリー機
1881年に創業されたSEIKO。
今では世界中に愛される偉大な日本の時計メーカーですが、特にセイコーのダイバーズウォッチは、出れば必ず外国でニックネームが付けられるほどの愛されものです。
(しかも、そのどのニックネームも聞けば「ああ、なるほど確かに…」と妙に納得できるから面白い)
セイコーのダイバーズウォッチの歴史は1965年から始まります。
世界初のダイバーズウォッチから遅れること12年、1965年にセイコーは日本初のダイバーズウォッチを完成させ、1966年から南極観測越冬隊の装備品として寄与します。
そこからエベレスト登頂や深度3000mの深海への帯同など極限の環境への挑戦を続け、進化してきました。
ここで紹介するSKX007は、数あるセイコーダイバーズウォッチの中でも、最も価格の安い部類に入る”末っ子”として愛されている時計です。そのニックネームはずばり”ブラックボーイ”。末っ子感溢れる名前です。
しかし末っ子と侮るなかれ、防水はきっちり200mを備え、ベゼルのクリック数は120個を誇ります(高価な物でも60クリックが多い)。しかも自社製ムーブメントを搭載しています。
正直、これだけの内容・品質ならば、他のメーカーであれば3~5倍の値段をつけていてもおかしくないと思います。それくらい圧倒的なコスパです。
私も海上勤務で使用していますが、非常にタフで頼もしく、しかもカッコいいので大のお気に入りです。
また、価格が安いため海外旅行やキャンプなどにも気軽につけていきやすいのも良いところだと思います。
ちなみに、MODと言われるSKXのカスタムがひそかに人気を博していて、専用カスタムパーツも海外サイトで売られているほどです。
バイクやクルマのようにSKXを改造して、自分だけのSKXを造ってみても面白いと思います。
4. まとめ
✔水に強く、磁力や衝撃にも耐性がある
✔街中からアウトドア、オフィスカジュアルから水着まで合わせやすい
✔頑丈なので、初めての機械式時計にもおすすめのジャンル
いかがだったでしょうか?今回は人気ジャンルであるダイバーズウォッチの解説と、おすすめベスト10を紹介しました。
ダイバーズウォッチは水に強く頑丈で、合わせられる服の範囲が広いので初めての機械式時計にもおすすめです。
各ブランドのエース級が揃う百花繚乱の人気ジャンルだけに選ぶのが非常に大変でした(IWCのアクアタイマー、オーデマ・ピゲのロイヤルオークオフショア、スクワーレやグライシンなども最後まで悩んだ候補でした)。
以下の動画で、今回の内容を映像で分かりやすく解説してます。
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