ノーチラス、ロイヤルオーク、オーヴァーシーズ、ブレゲ マリーン…これら超名作時計に共通するのは、海や船に由来しているということです。
なぜ名作腕時計は海や船に由来するのでしょうか?
本記事では、知られざる時計と海の繋がりを紐解き、海や船に由来する名作10選を紹介します。
目次
なぜ名作腕時計は海や船に由来するのか?
なぜ、名作と言われる時計は海や船に由来するものが多いのでしょうか?
その理由は次のようなものが思いつきます。
- 海や船は、好奇心や冒険、挑戦の象徴であるため
- 海や船は、優雅さやリゾートの象徴であるため
- 海や船は、時計にとって過酷な環境であり真価が問われる場所であるため
- 海や船は、時計の進化・技術革新大きく関わっていたため
次の章では、時計と海の繋がりとその歴史をまとめます。
時計と海の繋がりと歴史
古来より人類は海を越えることによって繁栄し、また発展してきました。
最初の船はただの丸太。向こう岸に渡る程度のものだったでしょう。
それから長い年月を経て、舟の形は、より水の抵抗を減らし、効率的な形へと変遷し、風を使って推進力を得る帆船にたどり着きます。
大航海時代と砂時計
時は流れ15世紀ごろ、大航海時代が到来します。
ポルトガルやスペインを中心に、ヨーロッパ諸国が帆船を使って、未開のフロンティアを目指して活動の範囲を広げます。
しかし一度海に出れば、生きて帰って来れる者は約20%という極めて危険なものでした。
それでも、人々が海に繰り出したのは、未開の地の先取権益、地位と名声欲しさ、冒険心と好奇心でしょう。
そもそも、地球を中心に天体が回るという地動説が信じられていた時代。地球は平で、海の端っこは奈落の底に落ちていると信じられていた時代です。
そんな時代の航海に必要不可欠だったものが正確な時計です。
しかし機械式時計は、教会の塔程の大きさしか実現できていない時代です。
そのため、当時の航海者は砂時計を持って行っていったようです。
地球を一周した、かの有名なマゼランは、18個の砂時計を航海に帯同したようです。
ちなみに、我々のよく使う言葉で、船から来ているものがあります。一例を紹介すると、
・リスク: 海図のない航海という意味から来ている
・サイレン: 美しい人魚に化け、船乗りを惑わすという化け物”セイレーン”から来ている
・ボランチ(サッカーのポジション): 帆船の舵取りの意味から来ている
大英国繁栄とクロノメーター
時は流れ、1700年頃。
時計は懐中時計サイズにまで小型化し、進化してます。
船の方は、大航海時代のおかげもあり、ヨーロッパからアフリカ等世界各地への航路が確立されています。
しかしそれでも、海難事故は絶えませんでした。
それは、精度の高い時計がなかったためです。
今のようにGPSがない時代、船乗りは太陽や星を頼りに航海をしていました。それが「天測航法」です。
しかしこれには、精度の高い時計が必要です。数秒誤差があるだけで、自船の位置を大きく間違えて算出してしまうのです。
そこで、英国は航海用の正確な時計を作ったものには2万ポンド(現在で言う数百億円)の賞金を与えるという法律を作ります。
最終的に、日差0.07秒という驚異的な高精度の時計を作ったのは、大工であった「ジョン・ハリソン」でした。詳しく書いている記事はコチラ→知ってて当然?時計の歴史6000年総まとめ【全ては一本の棒から始まった】
この正確さはハリソン・クロノメーターと呼ばれ、今日の時計の正確さの指標である【クロノメーター】に繋がっています。
これにより、安全な航海ができるようになった英国は世界に冠たる存在として栄華を極めました。
もし、ジョン・ハリソンが正確な時計を作っていなければ、世界の共通言語は英語ではなかったかもしれないし、世界の力関係が異なっていたかもしれません。
時計は海上から海中へ
このように人類活動の発展に大きく寄与してきた時計ですが、未だに活動できない領域がありました。
それが水中です。
いかに高精度で優れた時計でも、水中へは持っていけませんでした。
しかし、1926年、ついに本格的な防水時計が誕生します。
それが、ロレックスの「オイスター」です。
鉄をくり抜いたワンペース構造のケースに、裏蓋をねじ込むことによって防水時計を確保しました。
ロレックスは早速これを宣伝しようと、ドーバー海峡を泳いで渡るチャレンジをする女性記者の腕につけました。
女性は見事泳ぎ切り、ロレックスもまた問題無く正確に動き続けていた。これが大々的に報じられ、防水で丈夫=ロレックスと印象付けることに成功します。
さらにロレックスは、1953年に世界初のダイバーズウォッチ「サブマリーナ」を開発します。
これにより、時計は海上から海中へまで活動の領域を広げ、人類の探検を支えています。
海・船を由来を持つ名作腕時計10選
1. オーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク」
1972年に発表されたロイヤルオークは、近年大ブームとなっているラグスポの原点となった時計です。
発売から現在まで50年弱経っていますが、初代と現代ではほとんどデザインの変更がありません。初めから完成されたデザインであり、タイムレスな時計です。
「ロイヤルオーク」という名前は、ジェラルド・ジェンタが着想を得たという英国駆逐艦ロイヤルオークの舷窓から来ています。
2. ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」
「旅への誘い」をテーマとして「世界を飛び回る人へ向けたエレガントなトラベルウォッチ」として位置付けられている時計です。
そのため、初代・二代目オーヴァーシーズの裏蓋には、アメリゴ・ヴェスプッチ号が描かれていました。
海繋がりで、22金のローターが船乗りには欠かせないコンパスローズになっているのも、個人的にはグッときたポイントです。
3. パテック・フィリップ「ノーチラス」
ノーチラスは1976年に発表されました。デザイナーはロイヤルオークと同じくジェラルド・ジェンタ氏です。
「ノーチラス」という名前は潜水艦ノーチラス号から来ており、その舷窓からデザインの着想を得たそうです。
4. ブレゲ「マリーン」
1990年にデビューした時計で、ブレゲの伝統的な特徴を継承しながらスポーティな腕時計となっています。
マリーン誕生の由来は、ブレゲがフランス海軍のマリン・クロノメーター(航海用精密時計)の制作に携わっていたことに由来します。
2004年には第二世代「マリーン 5517」が発表され、2018年には第三世代となる「マリーン 5817」が発表されています。
コインエッジベゼルやブレゲ針など、ブレゲならではの特徴も楽しむことができます。
文字盤やローターなどのデザインは変更になりましたが、いずれも「波」や「船の舵輪」をイメージしており、その名の通り海をモチーフにしています。
5. ユリス・ナルダン「マリーン クロノメーター」
マリンクロノメーターの申し子と言えば、ユリス・ナルダンではないでしょうか。
1846年の創業時からマリンクロノメーターの製造に着手しています。
そんなユリス・ナルダンの代名詞を冠した「マリーン クロノメーター」は伝統的なマリン・ウォッチを感じさせてくれます。
6. ロレックス「ヨットマスターⅡ」
1992年に発表されたヨットマスターの後継機ヨットマスターⅡは、2007年に発表されました。
本格的なヨットレースに対応したスポーツモデルで、ロレックス独自のレガッタ・カウントダウン機能が組み込まれています。
サブマリーナの上位機種、ラグジュアリースポーツウォッチと言えそうなモデルです。
7. パネライ「マーレ ノストゥルム アッチャイオ」
マーレ ノストゥルムは、パネライ初のクロノグラフを持った時計です。
しかしその歴史は謎に包まれており、最初のプロトタイプは1943年にイタリア海軍甲板将校用に作られたそうですが、その後実際に製造されることはなかったそうです。
世界限定1000本です。
8. IWC「ポルトギーゼ」
1930年代、2人のポルトガル商人が「長い航海に耐えられる高精度の腕時計を作ってほしい」とIWCに依頼しました。
しかし、当時の技術では腕時計サイズで高精度の時計を作る事は困難でした。
そこでIWCは、懐中時計のムーブメントを使用し、遂に完成させた時計がこのポルトギーゼです。
懐中時計を思わせるデザインと大きさはそのためですね。
9. シャネル「J12」
シャネルのJ12は、ヨットの世界最高峰のレースである「アメリカズカップ」に由来しています。
オシャレでエレガントなスポーツウォッチです。
10. ハミルトン「カーキ ネイビー パイオニア」
1940年代アメリカ海軍の要請で製作した「マリンクロノメーター」をモチーフにした時計です。
ハミルトンの高精度マリンクロノメーターは、アメリカ海軍の艦船に搭載されていました。
そのクオリティの高さから、アメリカ海軍天文台に“Zero rate (特等級)”と称されたほか、1943年には第二次世界大戦で功績を収めた軍用時計として米・陸海軍から“E award”を受賞しています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、海・船を由来を持つ名作腕時計10選を紹介してきました。
もう一度おさらいすると、
- オーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク」
- ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」
- パテック・フィリップ「ノーチラス」
- ブレゲ「マリーン」
- ユリス・ナルダン「マリーン クロノメーター」
- ロレックス「ヨットマスターⅡ」
- パネライ「マーレ ノストゥルム アッチャイオ」
- IWC「ポルトギーゼ」
- シャネル「J12」
- ハミルトン「カーキ ネイビー パイオニア」
それではまた!ありがとうございました!
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