『あの時計の評価ってどうなんだろう?』
時計の購入を検討してるとき、こんな風に思ったことはありませんか?
そんな疑問を解決するために【時計の通知表】と題して、色んな時計を独自の観点でレビューしていきます!
第4回目は【ショパール アルパインイーグル】です。
この時計をネットで見てから、実機を手に取ってみたいとずっと思っており、先日その機会を得たので、速攻レビューをしていきたいと思います!
これを読めば、「ショパール アルパインイーグル」のことが360度マルっとわかるようになります!
目次
【時計の通知表】ショパール アルパインイーグルの評価は?
1. ブランド性: 私が作成した「腕時計ブランド格付け表」をベースに算出
2. 歴史/ストーリー: 対象時計のオリジナルモデルからの歴史の長さ・語れるストーリーの豊富さ
3. 外装/質感/ベルト: ベルトを含む外装の質感・仕上げの綺麗さ
4. ムーブメント/精度: ムーブメントの美しさ・精度・自社製かどうか
5. デザイン/サイズ: デザインの良さ・サイズ感の良さ
6. 操作感/心地良さ: 時計を付けた時の心地良さ・操作の簡単さ・心地良さ
7. 汎用性/使用範囲: 似合う服装の範囲・使用シーンの豊富さ。私が作成した「時計とドレスコード表」をベースに算出
8. コストパフォーマンス: 価格に対しての満足度
9. 資産価値: 購入価格or正規品と並行品の価格差・買取価格をベースに算出
10. 堅牢性/機能性: 内訳の総合点
10-1. 防水性: 30~50m防水で0.5点、200m防水で2.0点
10-2. 耐磁性: 4800A/mで1.0点、16000A/mで2.0点
10-3. 耐傷性: ステンレス、サファイヤガラス、セラミックなどで加点
10-4. 耐衝撃性: スペックや実体験で判断
10-5. 特殊機能: 基本的な機能以外に1個あれば1.0点、2個あれば2.0点
0. ショパールのアルパインイーグルってどんな時計?
ショパールの「アルパインイーグル」は、1980年に同社のステンレス製時計「サンモリッツ」を再解釈して、2019年に誕生した“ラグジュアリースポーツウォッチ”です。
その特徴的な名前は、“アルプスの豊かな自然に対する情熱と、そこに生息するイーグル(ワシ)の圧倒的な力強さ“をモチーフに時計を作ったことに由来しています。
近年非常に高い人気を誇るラグジュアリースポーツウォッチのトレンドを的確に捉えた、名門ブランドの意欲作です。
そして単にトレンドに則るだけはなく、しっかりとした歴史的背景を踏襲しつつ、ショパール独自の最新技術が織り込まれ、まさに「温故知新」という言葉がぴったりだと感じます。
ネットでこのアルパインイーグルを見た時に、おお!と思いました。
実際、実機がなかなか店頭に並ばない程、世界的に人気を博しているそうです。
先日、実機を触らせて頂く機会を得たので、どこよりも詳しく、速攻インプレッションレビューをしていきたいと思います!
1. ブランド性: 8.5点
ショパールのブランド性は8.5点としました。
上の表には名前が載っていませんが、個人的な感覚としては「工芸品級」。
ジャガールクルトやブランパン、ピアジェなど、“準雲上ブランド”の顔ぶれが並ぶランクに位置していると思います。
このクラスは、実用時計としてはもちろん、工芸品とも呼べるほど美しく職人的な時計が多く並んでいるクラスです。
ショパールは、時計だけでなくハイジュエラーとしても名声を博しており、”美しく魅せる”ことを熟知したブランドです。
そんな同ブランドが作る時計は、たとえステンレススチールであっても、貴金属のように綺麗に輝きます。
各ブランドのブランド性が気になる方は「1記事でわかる!時計ブランド44社の特徴と格付け 2020年度版」がおすすめです。
2. 歴史/ストーリー: 9点
歴史/ストーリーは9点です。
アルパインイーグルの元となった「サンモリッツ」が誕生したのは1980年、かれこれ40年前のことです。
ショパールのHPには、その歴史について次のように書かれています。
“約40年前、カール-フリードリッヒ・ショイフレは、アクティブで洗練を極めるサンモリッツのコミュニティにふさわしいスティールウォッチの製造に対し、父親を説得し、一つのアイコンを誕生させました。
デザインと機能の両方面で数年先を行くサンモリッツは、スポーツシックなタイムピースの決定版となりました。
今日、歴史は繰り返し、父と息子が再び会し「アルパイン イーグル」が誕生したのです。これほど美しい歴史が他にあるでしょうか。
サンモリッツ現代版への再解釈は、3世代にわたり受け継がれてきた創造性と専門知識を証明しています。”(引用: ショパールHP)
ここからは、私の考察です。
1980年といえば、世界三大時計ブランドが続々と「ステンレススポーツウォッチ」を誕生させた(1972~1977年)の直後です。
そして、日本のセイコーが1969年に「クォーツ式」という全く新しい時計の概念を生み出し、世界中に浸透し始めていた時期です。
当時22歳と若かったカール-フリードリッヒ・ショイフレは、そんな時計界の変換期を感じ取っていたのではないでしょうか?
そして、当時の社長であり父親でもあったカール・ショイフレにステンレススポーツウォッチを作る事を持ちかけます。
しかし、歴史あるジュエラーの名門としての地位もある故、簡単に「Yes」とは答えが出せなかったはずです。
だから、ショパールのHPには、“説得”という言葉が使われているのだと思います。
ジュエラーとして誇示を守り、貴金属の時計のみを作り続けるのか?世の変革を捉え、ステンレス製スポーツウォッチに挑戦するのか?
非常に難しい経営判断だったと想像します。
そして最終的に出した答えは「Yes」。ショパールは、ステンレス製スポーツウォッチに取り掛かります。
いくつもの試行錯誤を経て、1980年に「サンモリッツ」は誕生し、25年以上に及ぶヒット商品となりました。
時は流れ、再び世の中にステンレス製スポーツウォッチの「ラグジュアリースポーツウォッチ」のトレンドが高まったころ、再び歴史は繰り返されます。
今度は、あのサンモリッツを提案・実現させたカール-フリードリッヒ・ショイフレの息子であるカール・フリッツが、サンモリッツを再解釈した時計の製造を持ちかけます。
そして2019年「アルパインイーグル」と名前を変えて誕生するに至りました。
この時計は、親子三代にわたる物語の結晶でもあるのです。
このようにアルパインイーグルは、単にトレンドを捉えた時計ではなく、しっかりとした歴史を持った時計です。
ラグジュアリースポーツウォッチって何?と、気になる方は、万能な高級時計が欲しい人へ!ラグスポ時計の選び方とおすすめ10選がおすすめです。
3. 外装/質感/ベルト: 9.5点
外装/質感/ベルトは9.5点です。
外装の質感は非常に高いと思います。
この時計のために4年の歳月を経て開発された「ルーセント スティール A223」は、ステンレスに比べて1.5倍の硬度を持つ耐久性に優れています。
それだけではなく、ゴールドに匹敵する輝きを持ち、しかも低刺激で肌に優しくできています。
おそらく、それだけの硬度を持つため、加工は非常に難しいものでしょう。
しかし、さすがはショパール。複雑な構造を実現しており、部位によって異なる仕上げをすることによって、より立体的に時計を魅せてくれます。
さらに、通常のステンレスからは考えられない程輝きが強く、ただならぬオーラを放っていると感じました。
そして文字盤や針、インデックスやリューズの処理まで非常に丁寧にされていることが見て取れます。
ベルトは、それぞれのコマが丁寧に処理されています。コマそれぞれがカーブを描いてはいませんが、一つのコマが細かいので優れたフィット感を実現しています。
しいて言いば、個人的にはベルトの真ん中の鏡面部分は要らないかなと思いましたが、これは人それぞれの好みの問題かと思います。
4. ムーブメント/精度: 9点
ムーブメント/精度は9点です。
アルパインイーグルに使われているムーブメントは、ショパールの工房で開発された自社製のムーブメントで、スイス公認クロノメーター(COSC)を取得しています。
このクラスの時計は、ムーブメントに美しさを求めるため、どうしても精度が高くなりにくいのですが、アルパインイーグルは精度を重視しているようです。実用的ですね。
パワーリザーブは60時間。現在の基準では、平均的といったところでしょうか。
ラグジュアリースポーツウォッチでは、ローターに美しさと重さを求めるため、22金ゴールドなどが使われているものが多いのですが、アルパインイーグルはローターをステンレスにしています。
そのため、価格を抑えることに成功しており、個人的には良い判断だと思います。
ムーブメント全体的には、目を見張る美しさこそありませんが、整然としたクリーンなデザインをしており、個人的には大好きです。
5. デザイン/サイズ: 10点
デザイン/サイズは10点満点です。
かつての「サンモリッツ」を踏襲しつつ、現代に合わせた素晴らしいデザインだと思います。
まずパッと目を引くのが特徴的な文字盤です。
“サンバースト装飾を施したガルバニック加工のブルーまたはグレーの真鍮製文字盤は、ワシの目の虹彩をイメージさせ、自然ほどインスピレーションの源となり得るものは他にないということを思い出させてくれます”(引用: ショパールHP)
と、あるように、まるで油絵のような凹凸をもつ文字盤は、非常に珍しく、くぎ付けになってしまう美しさを持ちます。
また、日付窓の位置も素晴らしいですね。
ほとんどの時計は、3時位置にあるため、インデックスが欠けてしまい、左右非対称になってしまいます。
アルパインイーグルは、日付窓を4時と5時の配置することで、インデックスを完璧に揃えることに成功、美しい文字盤を形成しています。
針の形も非常にこだわりを感じます。
“ワシの羽を想起させるカウンターウェイトを備えたロジウムメッキの秒針は、矢の形をしています”(引用: ショパールHP)
また、時針・分針も角を削り、幅も先端にいくにつれて、ごくわずかにシェイプさせているように見えます。
気づくか気づかれないか、微妙な細部を整えることで、絶妙なデザインを形成していると感じました。
ここまでデザインを絶賛していますが、中でも最も「おお!」と思ったのが、このローマ数字のインデックスです。
あくまで私の推察で論じます。
このラグジュアリースポーツウォッチをけん引している、世界三大時計のモデル「ノーチラス」「ロイヤルオーク」「オーヴァーシーズ」はいずれもバーインデックスを用いています。
というのも、バーインデックスはフォーマルにもカジュアルにも使える非常に使い勝手の良いマークだからです。
そう考えれば、当然アルパインイーグルもバーインデックスを使うのが無難だと思います。
しかし実際には、12時・3時・6時・9時の4つに高貴なローマ数字を用いました。
もちろん、この元となった「サンモリッツ」がローマ数字を用いていたためだと思います。
しかし、それ以外に私はジュエラーとしての誇示もあるのではないかと考えています。
「スポーティな時計を出すけども、我々は高貴なジュエラーである」ということを静かに主張しているように私は感じました。
しかし、高貴過ぎても、この時計の持つスポーティさに反してしまいます。
そこで、インデックスの角を落として、丸みを待たせ、幅を太くとり、全体のバランスを保ったのだと私は思います。
そのおかげで、スポーティでありながら高貴、しかし高貴過ぎずカジュアルさも備えている絶妙なバランスが出来上がっていると思います。
ケースの造形も私は大好きです。
まず何といっても、ダイバーズウォッチかと思う程の、太くマッシブに取られたラグです。
このラグと文字盤や針の繊細さがとてもアンバランスのようで、マッチしていると個人的には感じます。
そして”両耳”とラグに打たれたビスは、かつてのサンモリッツの名残を感じ、往年のファンには嬉しい演出ではないでしょうか。
ケースサイズは41mmと、ラグジュアリースポーツウォッチの王道の大きさ。
厚さは9.7mmと、10mmを切り優れたフィット感に貢献しています。また、袖下に収まってくれるのもビジネスシーンで嬉しいですね。
このように、過去を踏襲しつつ、現代的な絶妙なバランス・サイズに文句のつけどころはなく、素晴らしいデザインだと思います。
6. 操作感/心地良さ: 9点
操作感/心地良さは9点です。
リューズの回し心地や、針合わせは価格相応に気持ち良いと思いました。
ブレスレットも着け心地が良いです。
それぞれのコマがカーブを描くように加工はされていませんが、処理が良いのと、コマが小さいので優れたフィット感を実現しています。
7. 汎用性/使用範囲: 9点
汎用性/使用範囲は9点です。
アルパインイーグルの汎用性はとても高いですね。
ラグジュアリースポーツウォッチというジャンル自体が高い汎用性を持ちます。
タキシードなどの至極フォーマルな場面以外は合わせることができるでしょう。
ただ、ゴールド並みに輝きを持つので、ビジネスシーンでは、業種や場面を選ぶかもしれません。
時計とファッション・TPOの組み合わせについてより詳しく知りたい方は、あなたは大丈夫?TPOをわきまえたセンスある大人の時計選びがおすすめです。
8. コストパフォーマンス: 9点
コストパフォーマンスは9点です。
定価では147万円。並行輸入では、現在約124万円ほどです。
確かに高額ではありますが、総合的に非常に満足度が高いです。
正直、同額の時計でもここまで満足度の高い時計はそうはないと思います。
世界三大時計のラグジュアリースポーツウォッチがいずれも200万円以上することを考えれば、比較的お買い得だと思います。
9. 資産価値: 8.5点
資産価値は8.5点です。
「アルパインイーグル 41mm 青文字盤」の定価は147万円。
現在購入できる並行輸入の新品は約124万円。新品に対しておよそ85%の価格です。
価値の持続性という観点では、現在基準ではやや下がるようです。
しかし、その他のブランドの時計はこれ以上に激しく下がるものが多くあるので、比較的価値を維持していると思います。
また、発売して間もなくなので、今後どうなっていくかわかりません。
私個人の感覚としては、もっと上がるのでは?と思っています。
というのも、ラグジュアリースポーツウォッチは今や世界的に超人気ジャンルで、アルパインイーグルの売れ行きも好調と聞いています。
その証拠に並行輸入も日本ではわずか1本のみ。
ショパールというブランド自体が、そこまでメジャーでなく、そしてアルパインイーグルは新しい時計です。
そのため、おそらく時計愛好家や投機家は、まだ様子見という状態かと思います。
これからこの時計の良さが認識されて、欠品状態が続けばさらに価格は上昇すると思います。
そして、私が見た感じ、それだけの出来栄えとポテンシャルをアルパインイーグルは備えていると感じました。
今後の価格推移に注目したいと思います。
10. 堅牢性/機能性: 6.5点
堅牢性/機能性は6.5点です。
ナビタイマーの堅牢性/機能性はまずまずといったところでしょうか。
それぞれの評価項目について見ていきましょう。
10-1. 防水性: 1点
防水性は1点です。
アルパインイーグルの防水性は100m防水です。潜水や水仕事をしない限りは大丈夫でしょう。
このジャンルの時計としては、必要十分の防水性を確保しています。
10-2. 耐磁性: 0.5点
耐磁性は0.5点です。
調べてみても、アルパインイーグルの耐磁性に関する記述は見当たりませんでした。
10-3. 耐傷性: 2点
耐傷性は2点満点です。
アルパインイーグルには、ステンレスの1.5倍の硬度を持つ「ルーセントスティール A223」が使われており、風防には傷に強いサファイヤクリスタルが使われています。
10-4. 耐衝撃性: 1点
耐衝撃性は1点です。
スペック上では特に衝撃に強いという文言は見当たりません。
ケース厚さが薄い分、衝撃に弱い可能性がありますが、判断材料が無いので平均的な値にしています。
10-5. 特殊機能: 2点
特殊機能は2点満点です。
アルパインイーグルに使われている、ルーセントスティールA223は、ステンレスの1.5倍の硬度を持ち、ゴールド並みの輝き、そして低刺激で肌に優しく出来ています。
また、ブレスレットのコマは裏面のネジを緩めることで外すことができます。
これらは、他の時計には見られないアルパインイーグルならではの機能と言えると思います。
【採点結果】総合点: 88点 満足度: 91%
「ショパール アルパインイーグル 41mm 青文字盤」の採点結果は………「総合点88点」「満足度91%」となりました!
こうしてみると、非常にバランスの良い優れた時計であることがわかります。
特に「外装の質感」「デザイン」「汎用性」に秀でていると感じます。
一方で「堅牢性」は比較的低めです。
しかしラグジュアリースポーツウォッチという括りでみれば、むしろ上出来な部類だと思います。
まだデビューして1年もたたないニューカマーですが、今後さらに人気を博す存在になるでしょう。
雲上ブランドのラグジュアリースポーツウォッチの下を埋める最有力候補は、このアルパインイーグルだと思います。
今回レビューした「アルパインイーグル」がお得に買えるお店はコチラです。
あとがき
如何だったでしょうか?
ショパールの「アルパインイーグル」のレビューをさせて頂きました。
個人的にも、非常に欲しい時計の一本で間違いありません。
実は今年すでに時計を1本予約しているのですが、それが無ければ本当に買っていたかもしれません。それくらい魅力的な時計でした。
ラグジュアリースポーツウォッチを検討している方の参考になれば幸いです。
もしまだ腕時計選びで悩んだり、迷っているようでしたら「たったの3ステップで理想の腕時計を見つける方法」をまとめたので、これを読めば理想の時計にぐんっと近づけると思います。
これからも色んな時計をレビューしていきたいと思います。
この時計を採点して欲しいなどありましたら「問い合わせ」からコメント頂けたら嬉しいです。
それではまた!ありがとうございました。