『ナビタイマーかっこいいなあ。でもIWCのマークシリーズもカッコいい…』
『パイロットウォッチが欲しいけどどれにしようかな』
こんな風に思ったことはありませんか?
本記事では、こういった疑問に答えるため、【ブライトリング ナビタイマー vs IWC マーク18】と題して、“対戦形式”で様々な角度からレビューと比較をしていきます。
この記事を読めば、自分がどちらを選ぶべきか指針を掴むことができます。
この記事を書いている僕は、腕時計愛好歴4年、有名雑誌の時計レビュー企画で1000通の中から大賞に選ばれたり、腕時計コンサルタントとして一人ひとりにぴったりの腕時計を見つけるお手伝いをしています。
個人的には、2大パイロットウォッチがナビタイマーとマークシリーズだと思っていて、それぞれの印象は
ナビタイマー: アイコニックでパイロットウォッチの象徴的な存在
マークシリーズ: 戦場で絞り込まれたストイックなファイター
です。 それだけに今回の“時計界の空中戦(ドッグファイト)”(比較レビュー)がどんな結果になるのか、非常に楽しみです!
ちなみに、前回の企画は、ロレックス サブマリーナ 対 オメガ シーマスターダイバー300M【比較レビュー】 と、“時計界の深海戦”でした。笑
目次
ブライトリング ナビタイマー vs IWC マーク18【比較レビュー】
1. ブランド性: 私が作成した「腕時計ブランド格付け表」をベースに算出
2. 歴史/ストーリー: 対象時計のオリジナルモデルからの歴史の長さ・語れるストーリーの豊富さ
3. 外装/質感/ベルト: ベルトを含む外装の質感・仕上げの綺麗さ
4. ムーブメント/精度: ムーブメントの美しさ・精度・自社製かどうか
5. デザイン/サイズ: デザインの良さ・サイズ感の良さ
6. 操作感/心地良さ: 時計を付けた時の心地良さ・操作の簡単さ・心地良さ
7. 汎用性/使用範囲: 似合う服装の範囲・使用シーンの豊富さ。私が作成した「時計とドレスコード表」をベースに算出
8. コストパフォーマンス: 価格に対しての満足度
9. 資産価値: 購入価格or正規品と並行品の価格差・買取価格をベースに算出
10. 堅牢性/機能性: 内訳の総合点
10-1. 防水性: 30~50m防水で0.5点、200m防水で2.0点
10-2. 耐磁性: 4800A/mで1.0点、16000A/mで2.0点
10-3. 耐傷性: ステンレス、サファイヤガラス、セラミックなどで加点
10-4. 耐衝撃性: スペックや実体験で判断
10-5. 特殊機能: 基本的な機能以外に1個あれば1.0点、2個あれば2.0点
11. 総合点: 10項目の合計点(100点満点)
12. 機能性抜きの満足度%: 「堅牢性/機能性」を抜いた満足度%(ドレスウォッチなどは堅牢性面で不利なため設けた)
ナビタイマーの方は、1年前に中古で購入した「A23322」という型のもの、マーク18は先日店頭で触らせて頂いた「IW327009」という型をエントリーします。
※IWC マーク18の方は、店頭で触らせて頂いたレベルなので、所有するとまた違た評価になる可能性があります。
1. ブランド性: ナビタイマー 8.0点 vs マーク18 8.0点
上の格付け表の通り、「実用時計の最高峰級」と位置付けたブライトリングとIWCのブランド性は共に8.0点です。
しかし、総合的に見れば、商品ラインナップの広さ、永久修理、複雑時計などを加味すると、若干IWCがリードかと思います。
IWCはオメガと共に、このクラスの2大エースブランドだと、僕の中では思っています。
一方ブライトリングも、プッシュボタン式クロノグラフの開発、自動巻きクロノグラフの開発、100%クロノメーター宣言など高いブランド性を誇ります。
特に航空業界との結びつきは古くから強く、今回のドッグファイトでは、全くIWCに引けを取りません。
よって、ここはお互いにドローが妥当でしょう。
各ブランドのブランド性が気になる方におすすめの記事はこちらです→1記事でわかる!時計ブランド44社の特徴と格付け 2020年度版
2. 歴史/ストーリー: ナビタイマー 10点 vs マーク18 9.5点
ナビタイマーの歴史/ストーリーは10点です。
ナビタイマーが誕生したのは1952年、かれこれ70年近く前のことです。
当時のアメリカ海軍大佐が考案した回転尺「フライトコンピューター」付きのクロノグラフです。
当時のパイロットはこれを使って、単位換算や飛行速度や高度、燃料の残量など様々な計算をしていたそうです。
ダイバーズウォッチの象徴的な時計が「サブマリーナ」だとしたら、パイロットウォッチのそれは「ナビタイマー」だと私は思います。
一方、IWCのマーク18の歴史/ストーリーは9.5点です。
IWCは1930年代後半からイギリス空軍にパイロットウォッチを収めて来ました。その流れの中で、1948年に最初のマークシリーズである「マーク11」が誕生します。
当時の戦闘機は計器類やエンジンが強力な磁場を発生させており、耐磁性のある時計が求められていました。
IWCはこれに応えるべく、時計のムーブメントを磁気の影響を受けにくい軟鉄で覆い高い耐磁性を実現します。
1948年から現在までマーク11,12,15,16,17,18と続いてきており、若干のサイズやデザイン、スペック変更はあるものの、全ての世代で高い耐磁性と視認性、スマートでシンプルなデザインを貫いています。
歴史が長いのはマークシリーズですが、長い時計の歴史のなかで、唯一無二の存在であるナビタイマーが半歩リードというイメージが僕の中であります。
いずれにしても両者ともに素晴らしい歴史とストーリーを持った名作であることは間違いありません。
パイロットウォッチの歴史や選び方、おすすめベスト10はパイロットウォッチとは?選び方とおすすめベスト10【ロマンある時計】で発表してます。
3. 外装/質感/ベルト: ナビタイマー 8.5点 vs マーク18 8.5点
外装の質感は両者ともに価格相応、8.5点といったところでしょうか。
ブライトリングの特徴として、ギラギラと光るような鏡面仕上げがされていますが、ナビタイマーは歴史もありクラシカルな顔なので、あまりいやらしさは感じません。
一方のIWCマーク18は、光沢を抑えた仕上げで、硬派というか武骨な雰囲気が漂います。
こういう表現が正しいかどうかはわかりませんが、前者はプロレスラー、後者はボクサーのように感じました。
ベルトは、ブライトリングナビタイマーが7連ブレス、IWCマーク18が5連ブレスとなっています。
(今回試着させてもらったマーク18は革ベルトタイプですが、別に試着したIWCパイロット オートマティック36は5連ブレスでした)
見かけによらず両者ともに、着用感は吸い付くように良好です。これは驚きました。
ちなみにマーク18の革ベルトは、有名イタリア高級靴メーカー「サントーニ」の革ベルトです。裏面が鮮やかなオレンジで美しいです。
今回の評価対象ではありませんが、このIWCパイロットウォッチ・オートマティック36…すごく良い時計だと思いました。
4. ムーブメント/精度: ナビタイマー 9.0点 vs マーク18 8.0点
ナビタイマーのムーブメント/精度は9.0点です。
このナビタイマーA23322には、「バルジュー7753」という”クロノグラフの名汎用ムーブメントバルジュー7750″の派生系ムーブメントが使われています。
ブライトリングは1999年以降の製品を100%クロノメーター宣言しており、2003年から発売されているこのA23322もクロノメーター級の精度を誇ります。
汎用品なので、メンテナンス性が良く、しかもクロノメーター級という事で、非常に美味しいムーブメントだと思います。
過去の製品ではありますが、現代基準で照らすとパワーリザーブ42時間は短いですね。
一方でIWCマーク18のムーブメント/精度は8.0点としました。
こちらは以前はETA社ムーブメントを使用していたのですが、2018年以降になってセリタ社のムーブメントにひっそりと替えましたね。
以前はIWCの魔改造を施していたそうですが、今回はどうなのでしょうか。
いずれにせよ、ブライトリングとは異なりクロノメーターではありません。ただし、ネットの情報ではそれに近い精度が出ているというのも散見されます。
パワーリザーブは42時間と、現在生産している時計の中ではやはり見劣りしてしまいますね。
5. デザイン/サイズ: ナビタイマー 10点 vs マーク18 9.0点
ナビタイマーのデザイン/サイズは10点満点です。
1952年の誕生以来大きくデザインは変わっておらず、“初めから完成されたデザイン”と言う事ができると思います。
ある時計ブランドが、このナビタイマーのデザインを使用したいということで、権利を獲得した際も、どこもいじらないでそのままのデザインで出しているほどです。
どこをいじっても崩れてしまいそうな、この完璧なバランスは実に見事。これからも永遠にこのデザインは変わらないでしょう。
大振りな時計が多いブライトリングですが、このナビタイマーA23322は、ケース径41.8mmは許容値内。むしろよくこのサイズに収めてくれたと思います。
裏蓋も気温(℃⇔℉)の変換表が乗っており、プロフェッショナル感があってかっこいいです。
あと、ロゴも「翼B」がかっこいいですね。バッジではなくプリントなので、細かく描かれていてとても気に入っています。
次世代機は、プリントからバッジに変わり、最新のナビタイマーは翼が消え、最新モデルではロゴ自体から翼が消えてしまっています…。
ブライトリングのロゴについてより詳しく知りたい方は、知ってた?あの有名時計ブランドのロゴと誕生秘話ベスト5がおすすめです。
また、ナビタイマーの一番すごい所は、文字盤の緻密なプリントだと思います。印刷技術のあまり発展していない1952年当時から、正確な文字盤を作っていたと言います。
これだけ煩雑な文字盤ながら、しっかりと数字を認識できる視認性を確保しているのは、凄いことだと思います。
マーク18のデザイン/サイズは9.0点としました。
ザ・パイロットウォッチというように、瞬時の視認性に特化したシンプルでクリーンなデザインは気持ちがいいです。
大きめなアラビア数字やアルファ針もミリタリーベースであることを感じさせてくれます。
文字盤の黒は光の反射を抑えたマットブラックです。飛行中に光が反射しないように配慮されているのではないかと思います。
ケースも風防も光の反射を抑えるように加工されています。
意外なだったのは、夜光は12,3,6,9時のマーカーだけということです。これも飛行中を考えてのことなのでしょうか。ここは全て欲しかったなあと個人的には思いました。
日付表示は凄いですね、文字盤に精巧にぴっちりと寄っています。ただ欲を言えば、もう少し文字盤の外側に配置されれば完璧だと思いました。
そして一番惜しく思ったのが、サイズです。
40mmというサイズは現代では平均的ですが、これだけシンプルなデザインだと、間延びして見えます。
38mmがベストじゃないかなあと僕は思います。
しかし、徹底して”パイロットウォッチであること”を意識しているように感じられるので、視認性を優先するなら40mmが正解なのかもしれません。
6. 操作感/心地良さ ナビタイマー 9.0点 vs マーク18 9.5点
ナビタイマーの操作感/心地良さは9点です。
プッシュボタンはねじ込み式でないので、すぐに押すことができます。
回転尺の回し心地もスーッと回って気持ちいいです。
7連コマのブレスレットは腕に吸い付くよう。一方で、かなり輝いて目立ってしまうので、最近は革ベルトやNATOベルトに交換して使っています。
ナビタイマーの操作感/心地良さは9.5点です。
3針ゆえに、シンプルな操作で済むのが良いですね。
針合わせも剛性感があり、きっちりしていると思いました。
(パイロットウォッチ・オートマティック36の)5連ブレスレットもとても気持ちよく、素晴らしい出来だと思いました。
7. 汎用性/使用範囲: ナビタイマー 8.0点 vs マーク18 9.0点
汎用性/使用範囲は、ナビタイマーは8.0点、マーク18は9.0点としました。
ナビタイマーは42mmとケースが大きく、クロノグラフのため分厚く、さらに文字盤もBusyなため、フォーマルには似合いません。
着けるならオフィスカジュアルまでが限界だと思います。カジュアルにはばっちりです。アウトドアでは、水辺以外であれば良いでしょう。
一方、マーク18は、シンプルで薄いため、ビジネスフォーマルでも可能な範囲だと思います。
純粋なドレスウォッチほどぴったりではありませんが、フォーマルスーツでも悪目立ちはしないと思います。
カジュアルシーンではバッチリ似合うと思います。アウトドアも水辺以外であれば似合うでしょう。
メンズファッションと時計のマッチングについて詳しく知りたい方はコチラの記事がおすすめです→腕時計をおしゃれに着けこなすコツ【メンズの腕時計と服装の合わせ方】
8. コストパフォーマンス: ナビタイマー 8.5点 vs マーク18 8.0点
用性/使用範囲は、ナビタイマーは8.5点、マーク18は8.0点としました。
僕はナビタイマーA23322を中古で、40万円ほどで購入しました。
40万円ほどで「パイロットウォッチといえばナビタイマー」というような、アイコニックな時計が手に入るのは、コストパフォーマンスが高いと思います。
しかもクロノメーターの精度を誇り、クロノグラフということを考えれば、お買い得だと思います。
一方、マーク18 IW327009も新品並行価格で40万円程度で買うことができます。
シンプルな3針でセリタムーブメントであるという事を考えると、やや割高感も否めませんが、歴史性やブランド性を考えるとそこそこのコスパだと思います。
9. 資産価値: ナビタイマー 8.0点 vs マーク18 8.0点
資産価値は両者ともに8.0点としました。
「ナビタイマー A23322」は現在生産終了しており、価格.comに掲載はありませんでした。
中古価格はおおよそ40万円前後~30万円半ばという感じです。
ちなみに私のナビタイマーを売りに出したら30万円前後くらいになりそうです。
価格的には25%減くらいでしょうか。
マーク18 IW327009の定価は57万2000円、並行価格が約39万5000円なので、約3割減です。
しかし、知名度やブランド性などから考えて、売却時には二束三文になるという事はないと思います。
正規品と並行品のメリット・デメリットが知りたい方は、コチラの記事がおすすめです→腕時計の正規品と並行輸入品の違いとは?ネットで買うのはありか?
10. 堅牢性/機能性: ナビタイマー 6.0点 vs マーク18 6.5点
10-1. ナビタイマー 0.5点 vs マーク18 0.5点
防水性は両者ともに0.5点。
ナビタイマーは3気圧防水。マーク18は6気圧防水です。
10-2. 耐磁性: ナビタイマー 0.5点 vs マーク18 2.0点
調べてみても、ナビタイマー A23322の耐磁性に関する記述は見当たりませんでした。
マーク18は、その誕生から耐磁性を考えられている時計です。かつては80000A/mあったようですが、このマーク18については、40000A/mの耐磁性を持っています。
10-3. 耐傷性: ナビタイマー 1.5点 vs マーク18 1.5点
耐傷性は両者ともに1.5点です。ステンレス製に加えて、サファイアガラスの風防を用いています。
10-4. 耐衝撃性: ナビタイマー 1.5点 vs マーク18 1.5点
耐衝撃性は両者ともに1.5点です。
スペック上では特に衝撃に強いという文言は見当たりませんが、パイロットウォッチということで、基礎的な耐衝撃性はあると思います。
以前、ナビタイマーを着けようとして、手から滑り落ちてしまい、ガンッと床に落としてしまったことがあります。
しかし、全く問題なく稼働しています。ナビタイマーについては、実体験も加味して、1.5点としています。
10-5. 特殊機能: ナビタイマー 2.0点 vs マーク18 1.0点
ナビタイマーの特殊機能は2点です。
クロノグラフに加えて、各種計算が行える回転尺「フライトコンピューター」が付いています。
マーク18は1点としました。
日付表示やハック機能など、極当たり前の機能に加えて、公式HPには「ガラスで急激な気圧変化にも対応」と説明があります。
これは正直、特殊機能と呼んで良いのか判断が難しいのですが、他のブランドでこの表記を見たことがないので、一応加点対象としています。
【採点結果】ナビタイマー 総合点: 85点 vs マーク18 総合点: 84点
「ナビタイマー」の採点結果は…「総合点85点」「堅牢性/機能性抜きで88点」
「マーク18」の採点結果は…「総合点84点」「堅牢性/機能性抜きで88点」
ということで、この空中戦(ドッグファイト)は、僅かにナビタイマーの勝利です。
僕がナビタイマーを所有しているので、若干主観が入っているかもしれませんが、それでもマーク18は改めて良い時計だと思いました。
特に「パイロットウォッチだけど、ビジネスシーンで使いたい」「幅広いシーンで使える時計が欲しい」「上品な時計が欲しい」人にはマーク18はぴったりだと思います。
また、高い耐磁性で、パソコン作業も安心して使えます。
逆に「クロノグラフが欲しい」「アイコニックな時計が欲しい」「唯一無二の特徴的な時計が欲しい」という人であれば、ナビタイマーが良いと思います。
いずれにせよ、ナビタイマーもマーク18も、パイロットウォッチでエース級の有名モデルなので、どちらを選んでも良い選択になると思います。
ここまでレビューしてきたナビタイマーとマーク18は、下の画像からスペックや価格を見ることができます。
今回の記事が、時計選びの参考になれば幸いです。
それではまた!ありがとうございました。