腕時計のある人生

宇宙好き必見!あの宇宙飛行士を支えた腕時計とその物語 5選

出典: https://www.funkidslive.com/learn/deep-space-high/marvellous-missions/spacecrafts/#

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『あの宇宙に腕時計が行ったことを、そしてその物語を知っていますか?』

宇宙飛行士やスペースシャトルには注目が集まりますが、彼らを支えている腕時計についてはほとんど触れられることはありません。

しかし、そんな影の力持ちにも物語はあります。

今回の記事では、普段はスポットライトの当たらない腕時計に焦点をあて、宇宙開発の歴史と合わせて、宇宙飛行士を支えた腕時計のバックストーリーを紹介します。

この記事を読めば、宇宙の見方が少し変わるかもしれません。

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1. 宇宙開発の歴史

出典: https://www.wired.com/story/nasas-space-shuttle-rises-from-the-dead-to-power-new-vehicles/
宇宙開発の主な歴史
1903年: 宇宙飛行が理論的に可能なことを証明した最初の著作物byロシア
1947年: 初の宇宙へ動物を送る実験(コバエ)byアメリカ
1961年4月12日: 初の有人宇宙飛行byソ連
1961年5月5日: 世界で二番目の有人宇宙飛行byアメリカ
1962年9月12日: J・F・ケネディ「月を目指す」宣言
1965年3月18日: 初の宇宙遊泳 byソ連
1965年6月: 世界で二番目の宇宙遊泳 byアメリカ
1969年7月21日: 人類初の月面着陸 byアメリカ

宇宙開発の主な歴史的出来事を時系列にまとめてみました。

1903年に宇宙飛行が理論的に可能であることが証明されてから、人類が宇宙に到達するまで約60年。

そこから月に到達するまで、約8年です。

どう感じるでしょうか?

私は物凄いスピード感だと思います。

1903年といえば、ライト兄弟が初めて飛行機で空を飛んだ年です(飛行時間12秒, 36.5m)。

そんな時代に、宇宙飛行が可能だと理論的に導きだし、そして宇宙を目指し始めること自体がすでにすごいです。

第一次世界大戦、第二次世界大戦で技術レベルは格段に上がり、1947年には初めて動物を宇宙へ送ることに成功します。

1960年代に入ると、ソ連とアメリカが宇宙開発の火花を散らします。

状況は常にソ連が一歩リード。

1961年4月には、ソ連のユーリ・ガガーリンが人類史上初めて宇宙飛行を達成します。

「地球は青かった」「いくら見渡しても神は見当たらなかった」などの言葉が有名ですよね。

そこでアメリカは月を目指すことを決定します。

それがJ・F・ケネディの有名な演説です。

We choose to go to the moon. We choose to go to the moon… not because they are easy, but because they are hard」

「我々は月に行くことを選ぶ。簡単だからではない。むしろ困難だからだ」

そして1969年7月21日、ニール・アームストロング船長率いる3人の宇宙飛行士が人類史上初めて月面に降り立ちました。

「これは一人の人間としては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」はあまりにも有名な言葉です。

究極の冒険とも言える、宇宙飛行とそれを成し遂げた宇宙飛行士たち。

彼らの腕にもまた、腕時計はありました。

普段はスポットライトの当たらない腕時計に焦点をあて、宇宙開発の歴史と合わせて、宇宙飛行士を支えた腕時計のバックストーリーを紹介します。

ちなみに、宇宙飛行士の腕時計はクロノグラフ(ストップウォッチ機能付きの時計)と決まっています。

クロノグラフについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

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2. 宇宙に行った腕時計 5選

2-1: ブライトリング「ナビタイマー・コスモノート」

RY的おすすめポイント
唯一無二の機能「フライトコンピューター」
アイコニックで完成されたデザイン
24時間表記の文字盤

1つめは、パイロットウォッチの雄 ブライトリングの不朽の名作「ナビタイマー」の宇宙飛行用版「ナビタイマー・コスモノート」を紹介したいと思います。

ナビタイマーには、他の時計にはない独自の「フライトコンピューター」が搭載されているのが特徴です。

また、しっかりとした歴史的背景があり、流行り廃りのないタイムレスな時計です。

ナビタイマーは、1952年に回転尺付きのクロノグラフとして、アメリカ海軍大佐に考案されました。

パイロットはこれを使って、単位換算や飛行速度や高度、燃料残数などが様々な計算できます。

ナビタイマーは瞬く間にパイロットたちのお気に入りとなり、ブライトリングはアメリカパイロット協会の公式時計として採用されました。

もともとブライトリングは世界で初めてのプッシュ式クロノグラフを開発し、さらに1969年に自動巻きクロノグラフを世界で最初に開発したメーカーの一つです。

ナビタイマーのすごい所は、文字盤の緻密なプリント技術です。印刷技術のあまり発展していない1952年当時から、正確な文字盤を作っていたと言います。

さらに驚くべきはデザインのバランスです。これだけ細かく複雑な目盛りと数字の羅列でも、しっかりとした視認性を備えており、デザインも破綻していません。

それどころか、どこをいじっても崩れてしまいそうな、この完璧なバランスは実に見事です。これからも永遠にこのデザインは変わらないでしょう。

1959年4月、マーキュリー計画で選出されたアメリカ初の宇宙飛行士7人のメンバーの1人にスコット・カーペンターが選ばれます。

彼はアメリカ海軍のテストパイロットで、1950年代には朝鮮戦争にパイロットとして参加していました。その戦争で彼は、ナビタイマーを着用していました。

そんなブライトリングへの信頼と実績から、スコット・カーペンターは宇宙ミッションの腕時計として、ブライトリングのナビタイマーの24時間バージョンの”宇宙飛行用”を要請します。

そして、1961年にナビタイマー・コスモノートが誕生します。

1962年5月に打上げられたマーキュリー・アトラス7号で、スコット・カーペンターはナビタイマー・コスモノートとともに、地球を周回、無事帰還します。

宇宙飛行用とは、24時間表記の文字盤です。つまり、時針が24時間で1周するタイプのものになっています。

宇宙では、昼か夜かわからないためです。24時間表記にすればそれがわかるということで、要請しました。

そうして完成した「ナビタイマー・コスモノート」は、アメリカ初の宇宙飛行士と共に、宇宙へ行った腕時計となりました。

2-2: オメガ「スピードマスター」

RY的おすすめポイント
人類史上最も偉大な挑戦を成し遂げたストーリー
プロフェッショナルなスペック
豊富な種類と比較的求めやすい価格帯

「ムーンウォッチ」の異名を持つ、オメガ「スピードマスター」を第3位に選びました。

スピードマスターは1957年に誕生しましたその名の通り、元々モータースポーツでの使用を目的として開発された時計です。

ところが、今日では「月面に降り立った時計: ムーンウォッチ」としてその名を馳せています。その経緯を少し紹介したいと思います。

時は1960年代、ロシアとアメリカは宇宙開発を競い合っていた時代。アメリカのNASAは、宇宙での使用に耐えうる時計を探していました。

様々なブランドの一般販売品を買って来て、あらゆる試験を行った結果、唯一宇宙での活動に耐えられると合格したのがスピードマスターでした。

それからスピードマスターは、NASAの公式装備品となり、1969年の月面着陸という人類初の偉業達成の一員となったのです。

これにより、スピードマスターはムーンウォッチと呼ばれるようになりました。ここまでは割と有名な話です。

しかし、スピードマスターの本当の真価は、この翌年の1970年、アポロ13号で発揮されることになります。

アポロ13号はもともといわく付きでした。13はキリスト教圏では、不吉な数字とされているうえに、発射時刻も13時13分だったのです。

アポロ13は月面着陸を目指していたものの、発射から2日後、電線のショートから起きた火花によって爆発事故が発生します。

そのためアポロ13は、深刻な水・電力不足に陥り、月面着陸をあきらめ、目標を地球への生還としました。

しかし電力を最小限に抑える為、ほとんどの計器が使えない状況です。

それでも何とか月を周回し、地球に向かう頃になると、今度はアポロ13の軌道がそれている事が発覚します。

地上管制の計算の結果、軌道を地球上へ戻すには、月面着陸用船のエンジンをぴったり14秒噴射しなければならないことが分かりました。

しかし、宇宙船の計器は使えません。彼らの腕に巻かれたスピードマスターを除いては。

彼らはスピードマスターのクロノグラフ機能(ストップウォッチ機能)を用いて、14秒ぴったりエンジンを噴射。そして、無事地球に帰還しました。

この華麗な帰還劇は、「最も成功した失敗(Successful failure)」「偉大な失敗」と呼ばれ、今でも語り継がれています。

そしてその立役者となったオメガには、乗組員の命を守ったとして、NASAからシルバー・スヌーピー賞が贈られたのでした。

このように、スピードマスターは、豊富なストーリーに彩られています。

そしてNASAに唯一承認され、宇宙空間でも稼働できるスペックの高さも証明されています。

また、スピードマスターは派生系がたくさん存在し、中には求めやすい価格のものも多くあるので、好みの一本に出合える可能性が高いと思います。

2-3: セイコー「ファイブスポーツ スピードタイマー6139 “ポーグ”」

RY的おすすめポイント
世界初の自動巻きクロノグラフを搭載
史上初めて”自動巻き”の時計が無重力空間で稼働することを証明
世界中の時計愛好家から”セイコー・ポーグ”の愛称で親しまれている

“1973年11月16日、NASA宇宙飛行士のウィリアム・ポーグ氏がサターンロケットに乗り込む際、宇宙服のズボンのポケットに入れていたのはセイコーの腕時計でした。

その時計は、セイコーが1969年の春から販売を開始した世界初の自動巻クロノグラフ、キャリバー6139セイコー『ファイブスポーツスピードタイマー』シリーズのひとつ。

ポーグ氏が空軍基地内売店にて当時71ドルで買ったものでした。セイコーの時計はNASA公認ではありませんでした。

しかし、フライト訓練が始まった時点では、まだ公認時計が宇宙飛行士らに支給されていなかったため、ポーグ氏はセイコーをつけてフライト訓練をしていました。

「回転ベゼルを使ってロケットエンジンの燃焼時間などを計る時、このセイコーがとても便利だということがわかった」とはポーグ氏の談。

ポーグ氏は「宇宙でもセイコーを使ってみたい」と考え、個人の私物としてミッションのお供にすることを決めたそうです。

そして実際の宇宙ステーション内では、右手首にはNASA公認腕時計「スピードマスター」左手首にはセイコー「6139」をつけて任務にあたりました。

このキャリバー6139は巻き上げ効率が良いので、手巻き機構が付いていません。

そして宇宙環境下に耐えうるためのスペックなどなかったにもかかわらず、腕を動かせば回転錘がまわり、無重力空間でも時刻を正確に示したそうです。

ポーグ氏が選んだ腕時計は鮮やかな黄色のダイヤル、発売から50年近く経ってもヴィヴィッドなデザインは古さを感じさせず、今でもなお魅力的に輝いています。

ポーグ氏はこのスカイラブ4のミッションで地球を1214周し、当時の宇宙滞在最長記録84日間にわたる宇宙ステーションの任務を無事に果たしました。

ポーグ氏は宇宙服を脱いだ後も長い間この腕時計を愛用していましたが、2008年、時計をオークションに出すことを決めました。

そして落札金の全額を宇宙飛行士育成のための財団(Astronaut Scholarship Foundation)に贈りました。”(引用: セイコーミュージアムHP)

このセイコー6139は、世界初の自動巻きクロノグラフだけでなく、それまで無重力空間では”手巻き式時計”しか使えないと思われていた概念を壊し、”自動巻き”も使えることを証明した時計でもあります。

この黄色い文字盤のセイコー6139は、“セイコー・ポーグ”の愛称で世界中の時計ファンに認知されている、偉大な時計です。

2-4: ジン「140」

RY的おすすめポイント
パイロットウォッチのドイツ工業規格を作ってしまうほど研究熱心なブランド姿勢
他社には真似できない、極限状態で活きる機能の数々と耐久性の高さがすごい
数々のプロ向けの特殊時計を開発したジンの、宇宙飛行士向けの時計

Sinn(ジン)というブランドを知っているでしょうか?時計好きでもなかなか知る人は少ないと思います。

それもそのはず、ジンは売り上げのほとんどを広告費ではなく、研究・開発費に充てているため、認知度は低いのです。

しかし、究極の計器としての時計を日々開発しているドイツのブランドです。

正式名称はSinn特殊時計会社。

その名の通り、他のブランドでは実現できないような特殊機能を研究・開発し、時計に落とし込み、世界各国の特殊な環境で働く者たちの心強いパートナーとなっています。

なぜ広告費を割いてでも研究・開発にお金を投じるのか?それには創業者ヘルムート・ジンの経験が関係しています。

ヘルムート・ジンは1916年生まれのドイツ軍パイロットでした。大戦中に負傷した彼は、その後パイロット教官となります。

彼はパイロットの命を守るのは「正確な計器」だと身をもって経験したことで、1961年、特殊な環境でも正確に時を刻むを作るための会社「Sinn特殊時計会社」を創業します。

彼は社長でありながら、出荷される時計の一つ一つを自ら検品していたと言います。

そのこともあってか、「ジンの時計は壊れない」という評判を獲得し、西ドイツ軍をはじめとする、NATO各軍でも使われるようになりました。

そんなジンの伝説的”スペースクロノグラフ”「140」です。

「140」は、ジンのコレクションの中でも特別な意味を持つクロノグラフです。

1985年、ドイツの物理学者であり宇宙飛行士でもあるラインハルトがスペースラブD1ミッションの際にこのモデルを装着し、自動巻時計が無重力空間でも作動するということを立証したのです。

現在発売されているものは、ジンの伝説的”スペース・クロノグラフ”140を再設計した新140シリーズのレギュラーモデルです。

このレギュラーモデルには、ジンならではの特殊機能である、耐傷性の高いテギメント加工Arドライテクノロジーも搭載されています。

2-5: フォルティス「クラシック・コスモノート」

RY的おすすめポイント
世界で初めて自動巻き腕時計を開発・量産した”知る人ぞ知る”ブランド
1994年ミール宇宙ステーション計画の宇宙飛行士標準装備器具に認定され、現在に至るまで宇宙での活動に従事
スイスのPC-7をはじめ世界60チーム以上の航空部隊で採用

フォルティスは、日本ではあまり有名ではありませんが、1912年に創業され、1926年には世界で初めて自動巻き腕時計を開発・量産したブランドです。

また、フォルティスの時計は、スイスのPC-7をはじめ世界60チーム以上の航空部隊に採用されている。

ソ連空軍の公式時計であった経緯から、ロシア空軍に引き継がれました。

この実績があったことや、様々な耐久テストに合格し、ロシア連邦宇宙局(ROSCOSMOS)はミッションにおける公式タイムキーパーとして、フォルティスを採用することに決定しました。

1994年ミール宇宙ステーション計画の宇宙飛行士標準装備器具に認定され、現在に至るまで宇宙での活動に従事しています。

すなわち、今この瞬間もフォルティスの時計は宇宙空間で地球の周りを回り続けているのです。

10万回以上地球の軌道を回った時計は、フォルティスをおいて他にありません。

宇宙船外で使用された世界で初めての自動巻時計オフィシャル・コスモノートをはじめとするすべてのフォルティス・コスモノーティス・コレクションの裏蓋には、連邦宇宙局との共同宇宙計画に敬意を表し、宇宙局のエンブレムが刻印されています。

活動実績はスピードマスター以上であり、もっとも地球を周回している時計でもあります。

現在宇宙で使われているのは「コスモノート」という次世代機で、「クラシック・コスモノート」は1994年当初から使われていた時計です。

宇宙活動に耐えられるスペックを備えながら、バルジュー7750という汎用ムーブメントが使われているので、求めやすい価格に抑えられています。

私も、この時計の「ソユーズ初の打上げ成功50周年」を記念した100本限定のLimited Editionを持っているのですが、とても気に入っています。

3. まとめ

宇宙へ行った腕時計5選まとめ
ブライトリング「ナビタイマー・コスモノート」
オメガ「スピードマスター」
セイコー「6139 “ポーグ”」
ジン「140」
フォルティス「クラシック・コスモノート」

いかがだったでしょうか?

宇宙に行った腕時計「スペースウォッチ」とその物語を5つ紹介しました。

宇宙に行った腕時計はそんなには多くなく、今回紹介したもの以外にも、G-SHOCKやブローバ、ロシアブランドの時計などもあります。

究極のミッションとも言える宇宙飛行、そのミッションを支える腕時計にも様々なバックストーリーが詰まっており、本当に面白いな~と思います。

こういった物語も含めて腕時計を買う際の参考にして頂ければなと思います。

以下の動画で、今回の内容を映像でさらに分かりやすく解説しています。

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ではまた!ありがとうございました。

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