『パイロットウォッチって何?』『選ぶときのポイントは?』『おすすめモデルは?』
こんな疑問をお持ちではないでしょうか?
そんな疑問を解決するため、本記事は【パイロットウォッチとは何なのか?選ぶときのポイント3つ、おすすめモデルベスト10】を紹介します。
この1記事で、パイロットウォッチの全てを網羅的に学ぶことができます。
この記事を書いている僕は、腕時計愛好歴4年、有名雑誌の時計レビュー企画で1000通の中から大賞に選ばれたり、腕時計コンサルタントとして一人ひとりにぴったりの腕時計を見つけるお手伝いをしています。
僕は今でこそ、大の時計好きですが、初めの頃は「パイロットウォッチって何?」「どんなモデルがあるの?」とわからないことだらけでした。
そこから色々と調べて、今ではパイロットウォッチの特徴や、選ぶときのポイント、おすすめモデルまで選べるまでに至りました。
この記事では、私のパイロットウォッチに関する知識をぎゅっとまとめたので、参考になれば嬉しいです。
目次
1. パイロットウォッチとは?
1-1. 特徴
パイロットウォッチとは、文字通りパイロットの為に作られた時計。
飛行機の種類や用途、パイロットの要望に応える形で、時計も進化と派生を繰り返して来た。
例えば、第一次・第二次世界大戦頃に誕生したパイロットウォッチは、瞬時の視認性を高める為、インデックスには大きいアラビア数字を採用し、光の反射を抑える風防を用いている。
さらに、手袋をしたままでも回しやすい大きなリューズを備え、気圧変化や磁気に強くなっているものもある。
一方で、大戦後、航空機での旅行が発達した時代に生まれたパイロットウォッチは、二国間の時間が同時に分かる機能が備えられたり、クロノグラフや回転尺による計算機が備えられたりした。
一口にパイロットウォッチと言っても、その生まれた時代や背景によって、異なる特徴を持つのがこのパイロットウォッチの面白いところ。
1-2. 歴史
空を飛びたいという太古からの人類の夢は、1903年にライト兄弟の飛行機によって叶えられました。
当時、男性の時計は懐中時計が主流で、腕時計は貴婦人のものでした。
そして当時の飛行家(パイロット)の時計は懐中時計であり、いちいちポケットから出したり、太ももに括り付けたりしていたと言います。
ブラジルのコーヒー王の息子であり、ヨーロッパの飛行家「サントス・デュモン」もその一人でした。
1904年、飛行家サントスは友人に飛行中でも見やすい時計を開発して欲しいと依頼しました。
その友人こそが、三代目カルティエ頭首「ルイ・カルティエ」です。
カルティエは製作に取り掛かり、今日の時計の基礎となるデザインを考案し、その時計を「サントス」と名付けました。
この「サントス」こそが、「世界で初めてのパイロットウォッチ」であり、「世界で初めてのメンズ腕時計」なのです。
飛行機の誕生から少しして、第一次世界大戦が勃発しました。
この戦争は、今までの白兵戦とは変わり、大量の兵器が投入された現代の戦争の始まりでもありました。飛行機も戦闘機として投入されました。
そのため、パイロットウォッチは瞬時の視認性が求められ、その結果、ケース大型化され、インデックスにはアラビア数字が採用されるようにりました。
第二次世界大戦頃になると、精密機械が戦闘機に取り付けられ、パイロットウォッチは磁気耐性が必須になりました。
また、時計の12時の位置に”△”が用いられるようになりますが、これは、どんな姿勢で飛んでいても、どちらが上かを瞬時に判断できるようにするための工夫です。
大戦後は飛行機による旅客の時代が到来し、二国間の時刻を表示するGMT機能や、回転尺によるフライトコンピュータを搭載した時計が誕生しました。
1-3. 個人的所感
パイロットウォッチは、ドレスウォッチやダイバーズウォッチのように制限やルールが厳しくなく、自由度の高いジャンルです。
そのため、その時計の誕生背景やブランドの考え方によって、色々なスタイルがあるので、選ぶ楽しさがあると思います。
一部のシンプルなモデルを除いては、比較的カジュアル目なモデルが多いので、休日用として割り切るのが良いと思います。
平日のスーツ仕事にはばっちりドレスウォッチでフォーマルに、休日はカジュアルな服で男心くすぐるパイロットウォッチなんかしてたら、もうほんとカッコいい大人だと思います。
フォーマルなスーツに合わせている方も多いですが、フォーマルな場面で、分厚いパイロットウォッチは少し浮いてしまうかもしれません。
というのも、基本的にミリタリーベースの背景を持つため、大型であったり、文字盤が複雑であったりと、フォーマルシーンで求められるものと真逆の要素が多いからです。
パイロットウォッチはカッコいいものが多いため、最初の一本に選びがちなのですが、スーツ仕事の方は、スーツで使える時計を持ってから、2本目以降で検討されるのが良いかと思います。
また、防水性についてもあまり高くないものが多いので、機械式時計を初めて買おうと考えている方は、2本目以降の選択がベストかと思います。
最初の一本として欲しいという方は、防水性があるか、大きすぎないか、自身のライフスタイルの中で使えるシーンや服装はどれくらいあるか、確認してから買われることをお勧めします。
パイロットウォッチはどんな服に似合うのか気になる方は、以下の記事もおすすめです。
2. パイロットウォッチを選ぶときに見るべき3つのポイント
2-1. 付加機能
歴史が長いだけに、どの時代、どんな背景で生まれたかによって、多種多様な付加機能が与えられているのがパイロットウォッチの最大の特徴です。
一見普通の見た目でも、実は磁力に強かったり、気圧変化に強かったりなどします。したがって、気になったモデルはスペックや誕生背景をよく聞いたり調べたりしてみるのが良いでしょう。
また、自分のライフスタイルに最もよく合った機能やデザインで絞り込むのも一手です。
2-2. ストラップ(ベルト)
ダイバーズウォッチならラバーか金属ベルト、ドレスウォッチなら革ベルトなど、時計のジャンルによってベルトはある程度決まっています。
ですが、パイロットウォッチはストラップの選択肢が豊富なのも特徴です。
革ベルトではクラシカルになり、金属ベルトではスポーティ、NATOベルトではカジュアルに着こなせます。ベルトとコーデの相性も含めて検討するのも楽しいかと思います。
2-3. 視認性
ダイバーズウォッチは暗闇での視認性ですが、パイロットウォッチは空中での瞬間的な視認性が求められます。
その為、フラットな風防(ガラス)に光を反射しない特殊なコーティングがされていたり、風防がドーム状になっていたりします。その違いにも注目してみると面白いと思います。
3. パイロットウォッチ おすすめベスト10
第1位: ブライトリング「ナビタイマー」
映えあるパイロットウォッチおすすめ第一位には、ブライトリングの「ナビタイマー」を挙げたいと思います。
理由としては、他の時計にはない独自の「フライトコンピューター」が搭載されておりアイコニックであること、しっかりとした歴史的背景があってタイムレスな時計であることから選びました。
ナビタイマーは、1952年にアメリカ海軍大佐が考案した回転尺付きのクロノグラフです。
パイロットはこれを使って、単位換算や飛行速度や高度、燃料残数などが様々な計算できます。
ナビタイマーは瞬く間にパイロットたちのお気に入りとなり、ブライトリングはアメリカパイロット協会の公式時計として採用されました。
これによりパイロットウォッチのといえばブライトリングという構図がより強固になります。
もともとブライトリングは世界で初めてのプッシュ式クロノグラフを開発し、さらに自動巻きクロノグラフを世界で最初に発表したメーカーの一つです。
クロノグラフを搭載したパイロットウォッチは五万とありふれていますが、その中でもこのナビタイマーこそが頂点に立つにふさわしい時計であると考えています。
ナビタイマーのすごい所は、文字盤の緻密なプリント技術です。印刷技術のあまり発展していない1952年当時から、正確な文字盤を作っていたと言います。
さらに驚くべきはこのバランスです。これだけ細かく複雑な目盛りと数字の羅列でも、しっかりとした視認性を備えており、デザインも破綻していません。
それどころか、どこをいじっても崩れてしまいそうな、この完璧なバランスは実に見事です。これからも永遠にこのデザインは変わらないでしょう。
ナビタイマーは様々なシリーズが展開されていますが、個人的には二世代前の2003年以降に発売された「A23322」が一番好きです。
サイズも41.8mmと扱いやすく、ブライトリングの翼入りプリントロゴもあり、裏蓋には温度変換表(℃⇔℉)が記載されているのもプロユースっぽくて好きです。
中身のムーブメントは自社製ではない汎用ムーブメントですが、逆に考えればメンテナンスがしやすく安価に維持することができると思います。
ブライトリングは1999年以降、100%クロノメーター化を宣言しており精度も非常に高くて安心です。
もし自社製ムーブメントにこだわりたい方は、2011年発売の「ナビタイマー01」以降のナビタイマーであれば自社製ムーブメントが搭載されています。
ちなみに、ナビタイマーを使用している有名人はたくさんいますが、モダンジャズの帝王と言われる「マイルス・デイビス」が特に有名です。
第2位: IWC「パイロット マークシリーズ」
第2位はIWCのマークシリーズを挙げたいと思います。
IWCは1930年代後半からイギリス空軍にパイロットウォッチを収めて来ました。その流れの中で、1948年に最初のマークシリーズである「マーク11」が誕生します。
当時の戦闘機は計器類やエンジンが強力な磁場を発生させており、耐磁性のある時計が求められていました。
IWCはこれに応えるべく、時計のムーブメントを磁気の影響を受けにくい軟鉄で覆い高い耐磁性を実現します。
1948年から現在までマーク11,12,15,16,17,18と続いてきており、若干のサイズやデザイン、スペック変更はあるものの、全ての世代で高い耐磁性と視認性、スマートでシンプルなデザインを貫いています。
またサイズは全ての世代で36~41mmと扱いやすいサイズで、厚みも抑えられており、無駄のない凛としてスタイリッシュなプロモーションを維持しています。
他のパイロットウォッチがたくさん機能を詰め込んで肥大化していくのを横目に、自らはストイックに磨きをかけ続ける。まさに”ファイター”としてのパイロットウォッチではないでしょうか。
またマークシリーズの魅力は、日常生活での合わせやすさにあると思います。
そのシンプルでスマートなスタイルから、フォーマルなスーツでも決して悪目立ちすることなく、また良いモノ感があるため、所有者の印象をそっと上げてくれると思います。
もちろんカジュアルな服とは相性バッチリです。日常生活の多くの場面で活躍してくれることでしょう。
スイスの中でも、珍しくドイツ語圏に位置するIWC。まさに質実剛健という言葉がぴったりのメーカーで、多くを語らずとも、工業的精度の高さと品の良さが、腕からひしひしと伝わって来ること間違いありません。
第3位: ロレックス「GMTマスターⅡ」
第3位はロレックスのGMTマスターⅡです。
正直、人気度で言えば1位のナビタイマー、2位のマークシリーズよりも上を行っていると思います。
ロレックスならではの精度の高さ、仕上げの良さ、頑丈さ、資産価値はパイロットウォッチの中でも随一でしょう。
サイズは40mmとベストサイズ、防水性も100mとパイロットウォッチの中では高く、非常に使いやすいモデルです。
GMTマスターⅡは、もともとGMTマスターⅠとして旅客機による旅行の黎明期、1955年に誕生しました。
それまでは海外旅行と言えば、船舶による旅行がメインで、乗客たちは毎日数分ずつ時刻をずらす事によって、二国間の時差を埋めて来ました。
しかし、旅客機の登場によって人々は”時差”を体感することになります(時差を英語で”Jet Lag”というのはこのため。Time lagではない)。
これはパイロットにとっても問題でした。そこでロレックスは、第二の時針を取り付け、さらに24時間表示の回転ベゼルを取り付け、二か国間(or三か国)の時間を同時に表示できるようにしました。
GMTマスターⅡの特徴のひとつは、ベゼルのカラーリングにあります。
これは、二か国目の時間が昼か夜かを判断する為に、2色で色分けしています。その色のパターンによって、”ペプシ”や”コーク”、”バッドマン”などニックネームがファンによって名付けていて、面白いな~と思います。
ロレックスの他のスポーツモデルと同じく、このGMTマスターⅡも値が下がりにくく、中古でも定価以上の値段というものも多いです。
海外に関わることが多い方や、資産価値のある時計が欲しい方におすすめの時計です。
ちなみに、GMTマスターⅡを愛用している有名人はたくさんいますが、とくに有名なのは、医者でありキューバ革命のカリスマ指導者の「チェ・ゲバラ」です。
第4位: カルティエ「サントス ドゥ カルティエ」
歴史の項目でも書いたとおり、パイロットウォッチの始まりであり、メンズ腕時計の始まりはカルティエの「サントス」です。
今日では、サントスはどちらかといえば、ドレスウォッチか3針スポーツウォッチに分類されそうですが、その出生を鑑みてパイロットウォッチのジャンルに入れました。
サントスは、これ以降に生まれたパイロットウォッチとは趣が異なり、どこか高貴でドレッシーです。
それは、サントスが生まれた当時は、飛行機が戦闘の手段ではなく、富豪や冒険家のものであったこと、さらには人類の夢とロマンの対象であったからではないでしょうか。
サントスのデザインは当時から殆んど変更されていません。
特に、太く頑丈なラグにビス留めという手法は、今大人気を博している”ラグジュアリースポーツウォッチ”そのもの。さすがは「宝石の王、王の宝石」と言われるカルティエといった先見性だと思います。
数あるサントスの中でも、「サントス ドゥ カルティエ」は、必要十分な防水性(100m防水)とスポーティなプロポーションも備えています。
そして文字盤には、高貴なローマ数字を配し、クラシカルでありながらも現代的で、絶妙なバランスを実現しています。
さらにストラップもワンタッチで変える事ができ、タキシードからデニムまで合わせることができる守備範囲の広さは魅力的です。
まさに飛行服からタキシードまで着こなしていた、サントス・デュモンのように、これ一本で様々なTPOに合わせることができます。
ここから先は私の考察ですが、なぜルイ・カルティエは、あえて読みにくい「ローマ数字」を採用したのでしょうか?
1910年代に入ってから世界は第一次世界大戦に突入します。戦車などの大量破壊兵器が投入された初めての戦争でした。
飛行機も戦争に利用されましたが、このころの飛行機は性能が上がり、パイロットは一瞬の判断が求められたと思います。
その証拠に、この時代のパイロット時計は大きく、見やすいアラビア文字が標準になっています。
しかし、サントスの頃の飛行機は戦闘兵器ではなく、冒険のためのもの、人類の夢を具現化したものでした。またパイロットは軍人ではなく、冒険家や富豪でした。
そして彼らの居場所は、戦場ではなく社交の場、フォーマルな場が主体であったはずです。
ルイ・カルティエもそのことは重々承知していたのでしょう。
だからこそ、フォーマルな場でも使えるようにと、最も高貴とされる「ローマ文字」を採用したのだと私は考えています。
事実、当時のサントスの写真には懐中時計用のチェーンが写っていません。おそらく、ディナーやパーティの時にも、腕時計をしていたのだと想像します。
一見、カルティエの時計と聞くと、「ジュエラーの派生系でしょ」と思うかもしれませんが、実はメンズ腕時計を作ったのはカルティエであるほど、腕時計の名門ブランドです。
ドレッシーで綺麗なパイロットウォッチが欲しい、一本でさまざまなTPOに対応したいと考えている方におすすめです。
第5位: ジン「857」
パイロットウォッチを語るうえで欠かす事の出来ないブランドの一つがこのSinn(ジン)です。
ジンというブランドは、時計好きでもなかなか知る人は少ないと思います。
それもそのはず、彼らは売り上げのほとんどを広告費ではなく、研究・開発費に充てているため、認知度は低いのです。
しかし、究極の計器としての時計を日々開発しているドイツのブランドです。正式名称はSinn特殊時計会社。
その名の通り、他のブランドでは実現できないような特殊機能を研究・開発し、時計に落とし込み、世界各国の特殊な環境で働く者たちの心強いパートナーとなっています。
なぜ広告費を割いてでも研究・開発にお金を投じるのか?それには創業者ヘルムート・ジンの経験が関係しています。
ヘルムート・ジンは1916年生まれのドイツ軍パイロットでした。大戦中に負傷した彼は、その後パイロット教官となります。
彼はパイロットの命を守るのは「正確な計器」だと身をもって経験したことで、1961年、特殊な環境でも正確に時を刻むを作るための会社「Sinn特殊時計会社」を創業します。
彼は社長でありながら、出荷される時計の一つ一つを自ら検品していたと言います。
そのこともあってか、「ジンの時計は壊れない」という評判を獲得し、西ドイツ軍をはじめとする、NATO各軍でも使われるようになりました。
ジンは、今ではドイツの特殊警察や税関、医療現場にまで最適な時計を生み出していますが、中でもパイロットウォッチは特筆するものがあります。それが、「TESTAF」と「DIN8330」という規格です。
パイロットウォッチは、ダイバーズウォッチと違い、工業規格がありませんでした。
しかしジンは、工業規格を定めようと、業界をリードし教育機関や企業と研究を進め、「TESTAF」と「DIN8330」というパイロットウォッチのドイツ工業規格を定めるまでに至りました。
詳しくはコチラ→DIN8330パイロットウォッチ規格(Sinn公式サイト)
ここで紹介する「857」は、ジンの技術の粋(以下に列挙)を集めながら、比較的求めやすい価格に抑えられており、さらにGMT機能で二国間の時間が同時にわかるので非常に機能的です。
・マグネチック・フィールド・プロテクション
・テギメント加工
・特殊結合方式の航空用回転ベセル
・Arドライテクノロジー
それぞれの機能の説明はコチラ→857のスペック(Sinn公式サイト)
さらに、モデル「857.UTC.VFR」になると、先述したDIN8330規格に準拠したモデルなります。
このランキングの中の時計でも、もっとも機能的で、プロフェッショナルのための時計だと思います。本物のパイロットウォッチ、機能を重視される方におすすめの一本です。
第6位: ベル&ロス「BR-05」
通称”ベルロス”という名前は、時計やファッションが好きなら聞いたことがあるかもしれません。
ベルロスは1992年に出来たブランドですが、四角いアイコニックな見た目と、しっかりした時計の作りによって、その認知度は、時計愛好家だけでなく芸能人やファッショニスタにも広がっています。
飛行機の計器を基本モチーフにしている同社の製品は、ミリタリー的で、どこかSinnの面影を感じます。
それもそのはず、ベルロス設立当時、Sinnの時計に惚れていた創業者二人はSinnの創業者ヘルムート・ジンにアドバイスを求め、彼の監修のもとで時計を製作していたからです。
「BR-05」は、2019年に発表された新モデルです。
それまでの大ぶりなケースから、40mmへとサイズダウンされ、より万人に似合うモデルとなっています。
アイコニックなデザインはそのままに、シルバーステンレスや豊富なカラーバリエーション用意され、全体の質感も向上しています。
今流行りのラグジュアリースポーツ然としているので、今後さらに人気が出てくるかもしれません。
第7位: オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」
100年以上機械式時計のみを作り続けるオリス。このブランドもまた、飛行機の黎明期からパイロットに時計を供給してきました。
この「ビッグクラウン ポインターデイト」は、1938年に作られました。
名前にある通り、リューズ(クラウン)が大きいのですが、これは当時のパイロットが皮手袋をしたままでも操作しやすいように配慮していた名残です。
また、瞬時の視認性を高める為おおきなアラビア数字を採用したり、光の反射を抑えるコーディングが施されたりしています。
コインエッジベゼルは、かつて回転式のベゼルを備えていた名残であり、クラシカルなデザインアクセントとして嬉しいポイントです。
また、”ポインターデイト”は、針で日付を表示するもので、オリスが開発した手法です。
手ごろな値段でありながら、しっかりとしたルーツを持ち、本格的な機械式時計を楽しめるとあって、初めての一本にも非常におすすめの時計です。
また、日本人になじみやすいサイズ感とカラーバリエーション、ブロンズ素材など、選択しが豊富なこともプラス要素だと思います。
第8位: ゼニス「パイロット タイプ20」
クロノグラフの歴史的名機「エルプリメロ」で、クロノグラフの名門として名高いゼニスですが、実は飛行機の黎明期からパイロットと深いつながりがあることはあまり知られていません。
1909年、飛行士ルイ・ブレリオは、自身の飛行機『ブレリオ11号』で英仏海峡(ドーバー海峡)横断飛行をやってのけました。距離は約40km。
当時の飛行技術では夢物語だと言う人までいた時代です。その偉業を成し遂げた時、彼の手首にはめられていたのがゼニスの時計でした。
また、1910年にフランスの飛行士レオン・モラールが、世界で初めて時速100kmを超えることに成功した時、彼はゼニスを使用していたそうです。
実は”パイロット”ウォッチというのは、ゼニスの標章登録で、文字盤に”Pilot”と書くのが許されているのはゼニスだけです。
これらを鑑みても、ゼニスのパイロットウォッチは王道ということがわかります。
ゼニスの「パイロット タイプ20」は、40mmという扱いやすいサイズに、10気圧防水を備え、自社製ムーブメントまで搭載しています。
文字盤は大き目なアラビア数字と針が配置され、ヴィンテージな雰囲気が漂います。
またケースもヴィンテージ加工がされており、リューズは革の手袋をしたままでも操作できるように大きな玉ねぎ型のものが付いています。
このあたりも、当時のものを再現しており嬉しいディティールです。
人とは少し違ったものが欲しい、ヴィンテージやクラシックなものが好きという方におすすめの一本です。
第9位: STOWA「フリーガー」or LACO「アウクスブルク」
第二次世界大戦時、ドイツ空軍は5つの時計メーカーにパイロットウォッチを依頼していました。
その内の2社がSTOWAとLACOです(ほかにランゲアンドゾーネ、ヴェンペ、IWCがある)。
このとき、ドイツ空軍は、パイロット用の時計をタイプAとタイプBに分けていました。
特に特徴的なBタイプは、5~55まで”秒”が大きく表示されています。
第二次世界大戦では、戦闘機の戦術や精度が戦況を左右し、まさに秒単位で精度が求められたためです。そのため、偵察機や爆撃機が目標を夜間でも正確に目標を捉えるために、あえて秒を大きくしていました。
さらにドイツ軍は、時計のサイズからデザインまで全て統一しました。その為、当時の時計にはメーカーのロゴが入っていません。
それに対して、ここで紹介している「Aタイプ」は標準的なデザインで、日常生活でも使いやすくなっています。
今日では、当時のフリーガーを作っているメーカーは限られてしまいましたが、STOWAやLACOは現代的なサイズにして製造を続けています。
当時の面影を色濃く残す同社のパイロットウォッチは、正真正銘のフリーガーパイロットウォッチです。
第10位: グライシン「エアマン DC-4」
1952年、第二次世界大戦後、軍の輸送機が民間に払い下げられ、飛行機での海外旅行が発展しつつある時代にこの時計は生まれました。
大量に人員を輸送できる「DC-4」という飛行機は、主にアメリカ軍の輸送機として戦争に従事していました。したがって、旅客にはぴったりの飛行機で、多くのDC-4が民間旅客機として活躍しました。
そんな時、グライシンのセールスマンは自社製品のセールスのため、パンアメリカ航空のDC-4東南アジア便に乗っていました。
そこで彼にコックピットに入るチャンスが巡って来ます。そこで彼はパイロットに、どんな時計があれば役立つかをヒアリングします。これを走り書きでメモした彼は、急いで本社へこのメモを送りました。
このメモを元にして、出来上がった時計こそがこの「エアマンDC-4」です。
このエアマンDC-4は世界初のGMT機能を搭載した時計であり、世界中のパイロット、特にアメリカ軍のパイロットに愛されました。
ベトナム戦争では、官給品ではなく、自腹でこのエアマンを買って使用するパイロットが多くいたほどです。
グライシンはこの歴史的な時計を、当時のデザインを忠実に再現し、42mmケースに収めて復刻しています。
値段も比較手を出しやすく、歴史的な一本としておすすめです。
4. まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、ロマン溢れるパイロットウォッチの解説と、おすすめベスト10を紹介しました。
こうしてみると、歴史的背景がしっかりした時計が多かったと思います。
生まれた時代や使われる飛行機の種類によって、それぞれの時計の個性が決まっているのは面白いですね。
まさに、最もロマンの溢れる時計のジャンル、それがパイロットウォッチだと思います。
時計好き、飛行機好き、ミリタリー好き、歴史好きにもおすすめです。
以下、動画でより分かりやすく解説しています。
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ではまた!ありがとうございました。