『好きなブランドの「ロゴ」ってありますか?その由来を知っていますか?』
ブランドに限らず、普段から色んな企業のロゴを目にしていても、意外と気にしませんよね。
しかしロゴには、ブランドの想いや物語が込められているはずです。
今回は「個人的に好きな時計ブランドのロゴと誕生秘話 ベスト5」を紹介し、その誕生秘話とブランドの想いを紐解いていきます!
ちなみに、こういった変わり種の企画記事で、「漢字一文字」でブランドを表す記事もあるので、もし良ければ息抜きに読んでみて下さい。
目次
個人的に好きな時計ブランドのロゴと誕生秘話 ベスト5
第1位: ブライトリングのロゴ「翼を持つ錨B」
栄えある第一位は、ブライトリングです。
何といってもこの翼がポイントです。「翼カッケー!!」って感じです。男子ならわかってくれると思います(筆者はもうアラサー)。
そして、海を象徴するアンカー(錨)です。
私は海で働いているので、このアンカーも気に入っているポイントです。
ちなみに「アンカー」とはリレーの最終走者でも使われていますよね。
アンカー=重要な役割という意味があるのです。
船の世界でも、アンカーは船を留める重要な役割です。台風が来てもアンカーで耐え忍ばなければなりません。
それが利かないと、クルーや船体、海洋環境や資産にまで重大な損失を与えてしまう可能性があります。それほどに重要な役割ということです。
そして、全体のバランスもとてもきれいで秀逸だと思います。
ブライトリングは、古くから航空機やパイロット達と深いつながりがあったことから、過去のロゴを見ても翼が付いているものが多いです。
アンカー(錨)が付いたのは1980年代頃、当時の会長CEOであるアーネスト・シュナイダー会長が空だけではなく海の分野でも、プロの計器を作るという表れでデザインしたそうです。
「翼x錨」という個人的な嗜好をドンピシャで突いてきており、堂々の第一位です。
私は、バイクにブライトリングのステッカーを貼っており、乗るときは必ず「ナビタイマー」を着けて、どっぷりとその世界に浸っています。笑
ブライトリングのワッペンを買ってジャケットに縫い付けようか、キャップも買おうかも迷っているところです。
2017年に、元IWCのCEOだったジョージズ・カーン氏がブライトリングのCEOに就任したことにより、ロゴから翼と錨が消えてしまいました(泣)。
おそらくIWCのようにシンプル路線で行きたいのか、中国市場を意識しているとか色々憶測はあるようです。
またいつか翼と錨が戻ってくることを祈っています。
第2位: パテック・フィリップのロゴ「カラトラバ十字」
第2位は、パテック・フィリップの「カラトラバ十字」です。
まずパッと見て、デザインバランスがとても美しい思います。
上下左右対称で、どこにも偏りがない均衡さは、パテック・フィリップの時計作りと企業姿勢を体現しているようにも感じます。
このロゴは「カラトラバ十字」と呼ばれ、12世紀にスペインで設立されたカラトラバ騎士団の紋章で、当時の騎士と切り離せない資質である勇気、礼節、独立を象徴していました。
そして、カラトラバ十字を構成する4つの百合の花は、昔のフランス王家の紋章であった「百合の花」をモチーフにしているようです。
さらに、色身は薄いゴールドで、ただならぬ上品さを漂わせています。
均衡のとれた美しいバランス・由緒正しき深い歴史・上品な色が魅力的なロゴです。
第3位: ヴァシュロン・コンスタンタンのロゴ「マルタ十字」
第2位は、ヴァシュロン・コンスタンタンの「マルタ十字」です。
好きなポイントはパテック・フィリップとまったく同じです。
やはり、均衡のとれた美しいバランス、上品な薄いゴールドの色合いが魅力的です。
「マルタ十字」の歴史は「カラトラバ十字」とはまた異なるので少し紹介します。
この「マルタ十字」がヴァシュロン・コンスタンタンのロゴとして採用されたのは1880年頃と言われています。
当時の時計に使われていたパーツがこのマルタ十字に似ていたのがきっかけだったそうです。
このマルタ十字は、キリスト教の騎士修道会である聖ヨハネ騎士団の象徴とされています。
聖ヨハネ騎士団は11世紀に起源をもつ宗教騎士団で、中世ヨーロッパの三大騎士団に一角で、第一回十字軍にも参加しているようです。
4つのV形をした紋章がその底部で結合した形をしており、突き出た8つの角を持ち、「8つの騎士道」を表しています。その騎士道とは、
- 忠誠心
- 敬虔さ
- 率直さ
- 勇敢さ
- 名誉
- 死を恐れないこと
- 弱者の庇護
- 教会への敬意
です。
ちなみに、”騎士団とは「肉体の力によって、肉体的な意味での敵と戦うのみならず、精神の力によって、悪しき魂をも敵として、二重の戦いをする戦士の生み出した全く新しい制度」であると、思想家ベルナルドゥスは定義しています。”(引用: コンシェルジュの愛用品06)
ヴァシュロン・コンスタンタンは騎士団ではありませんが、260年以上途切れることなく肉体的(=技術的)そして精神的に、二重の挑戦をし続けている“時計騎士団”といえるかもしれません。
第4位: グランドセイコーのロゴ「勝色・獅子・ドイツ文字」
グランドセイコーは1960年、日本のセイコーがスイスの独壇場であった高級時計市場に風穴を開けようと、設立した日本のクラフトマンシップの結晶とも言えるブランドです。
そしてそのグランドセイコーのロゴには、濃い紺色「勝色」が用いられています。
この勝色は、古来より日本に伝わる色です。
平安時代、皇族や貴族に仕える武官の着物の一種に使われる色でした。
鎌倉時代では、縁起物として武士に広く愛好されるようになり、鎧までこの勝色に染めたと言います。
オリンピックの日本代表選手団の制服にも、この勝色が使われることがありますよね。
元々紺色(ネイビー)が紋章や被服に使われる場合には、“ロイヤルネイビー”という言葉があるように、忠誠、信望、謙譲、清楚、高貴などを表します。
日本のみならず、西洋文化においても重要な色で、特に英国海軍の繁栄と共に世界的に価値を高めた色でもあります。
私もネイビーは大好きで、制服はもちろん、私服やスーツもネイビーですし、万年筆のインクも”深海”と呼ばれるネイビーにしてるほどです(ブログのロゴもネイビー)。
推測するに、グランドセイコーは、世界と戦うために日本古来より伝わる縁起の良い「勝色」を使ったのではないでしょうか。
また、グランドセイコー裏蓋には威厳溢れる「獅子の紋章」が刻まれています。
獅子は古来より威厳や力、王の象徴とされてきました。世界に追いつき・追い越すという野望と意志の強さが表れていますよね。
そして、Grand Seikoの文字は力強い「ドイツ文字」になっています。
このドイツ文字の採用に至っては、グランドセイコーのHPに経緯が書いてあったので、紹介します。
“ロゴマークのデザインは、服部時計店の本店と支店の合議制で決められた。本店では意見が割れたが、大阪支店と名古屋の支店がドイツ文字を支持。その結果、現在のグランドセイコーにまで受け継がれるロゴマークが完成した。”(引用: グランドセイコーHPより)
「勝色」「獅子の紋章」「ドイツ文字」と、どれをとっても、世界と戦うんだという「意志の強さ」と自社製品への「誇りと自信」が感じられます。
そしてグランドセイコーは意志通り、圧倒的な作りこみや精度、スプリングドライブという唯一無二の機構を搭載し、世界のトップブランドに名前を連ねています。
第5位: ロンジンのロゴ「翼を持つ砂時計」
ロンジンは1832年に創業された老舗ブランドです。第一回オリンピックの公式時計を務めたり、歴代の万博では歴代最多となる28個の金メダルを獲るなど、今のロレックス程の知名度を誇りました。
そんなロンジンのロゴは、「翼を持つ砂時計」です。「翼は未来にはばたく時」を、「砂時計は過ぎゆく時」を表現しています。
これは1867年頃から使われていて、世界知的所有権機関(WIPO)に登録されている中では最も古いものとなっています(1889年商標登録)。
意外にも、時計にはかつてロゴやブランド名はついていませんでした。
ロンジンは、自社のブランディング・高性能の証・横行する偽物との識別化のために、時計という製品にブランド名やロゴマークを配置して付加価値を与えました。
今では当たり前の手法ですが、これはロンジンが作ったものだったんですね。
ちなみに「砂時計」は14世紀ごろに存在が確認されています。
「水時計」が砂時計よりもはるか昔に発明されていたのに、なぜ砂時計が生まれたか?
それは、水時計は寒い日には凍ってしまい、暑い日には蒸発してしまうからです。砂時計はそんな欠点を補った画期的な発明でした。
そして時は大航海時代、世界一周を達成したマゼランを支えたのが「18個の砂時計」でした。
今のようにGPSが無い時代、船の位置を知るには星や太陽の観測が必要不可欠でした。
そして観測の時刻が精確であればあるほど、船の位置の誤差は小さくなるのです。
したがって、航海者にとって正確な時計というのは命を守る最重要アイテムでした。
水時計では船の動揺で一定に流れないため、当時の航海者は砂時計を用いていました。
ちなみにちなみに、1714年、世界の覇権を争っていたイギリスは、航海用の正確な時計を開発したものに2万ポンド(現在の数百万ドル相当)を出す法律を制定します。
そして、並み居る科学者が挑戦しましたが、長い年月を経て、高精度時計を開発し賞金を手にしたのは一人の大工さんでした(この先は長くなるので略)。
イギリスはこの極めて精度の高い時計を用いて、安全航法を確立し、世界に冠たる大繁栄に成功しました。
かなり話が逸れてしまいましたが、ロンジンは歴史上非常に重要な役割を担う「砂時計」をロゴに選んだというところに、私は凄みを感じます。
まとめ
第1位: ブライトリング「翼を持つ錨B」
第2位: パテック・フィリップ「カラトラバ十字」
第3位: ヴァシュロン・コンスタンタン「マルタ十字」
第4位: グランドセイコー「勝色・獅子・ドイツ文字」
第5位: ロンジン「翼を持つ砂時計」
いかがだったでしょうか?
今回はダレトク企画でしたが、個人的には書いていて楽しかったです。
時計に限らず、企業のブランドロゴは普段何気なく目にしていても、その由来や想いを深く考えることはなかったかもしれません。
少なくとも私はそうです。ただ時計を好きになってからは、時計のブランドロゴについては興味が尽きません。
入り口は「時計」でも、そこから色んな事や歴史に興味をもって「枝葉のように知識を広げていく瞬間」が、時計を好きになってよかったと思う瞬間です。
もっと色んなブランドのロゴについて知識を深めていきたいなと思います。
今回の記事が少しでも時計選びの参考になれば嬉しいです。
以下の動画で、映像でさらに詳しく分かりやすく話しています。
ではまた!ありがとうございました。
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