「はじめての高級時計で買うのは、機械式かクォーツ式、どちらが良いか?」
こんな疑問をお持ちではないでしょうか?
結論から言うと「ライフスタイル」と「時計に何を求めるか?」で変わってきます。
この記事を読めば【クォーツ式と機械式時計の違い メリット・デメリット】を知ることができ、どちらが自分に合っているのかわかるようになります。
目次
1. 機械式腕時計とクォーツ式腕時計の違いとは?
機械式とクォーツ式の違いは、ずばり「ムーブメントの違い」です。
ムーブメントとは、クルマで言うところのエンジンで、時計の針を動かす心臓部のことです。
機械式はその名の通り、ゼンマイと機械を用いて針を動かし、クォーツ式はクォーツ(水晶)と電子機器を用いて針を動かしています。
次の章から、それぞれ詳しく解説していきます。
2. 機械式腕時計とは?
歴史が深く、古典的な作りで、現在の高級時計と言われるもののほとんどは機械式時計です。
チチチチ…と、秒針が一秒間に何回も刻んで動くのが特徴です。
2-1. 機械式腕時計の歴史
機械式時計が誕生するのは、13世紀後半ごろイタリア北部だと言われています。
この機械式時計は、教会の鐘を定期的に鳴らすために”塔”から重りをロープで下して駆動していました。
この“塔”ほどある大きな時計が、懐中時計(ポケットウォッチ)まで小さくなり、そして腕時計の形になるまで約500年掛かっています。
現存する世界最古の腕時計が製作されたのは、1806年。皇帝ナポレオンが皇妃のために製作させたものです。
この時の時計は、”手巻き”という、手でゼンマイを巻いて、それを動力として動く時計でした。
そして1926年、現在の「フォルティス」というブランドから“自動巻き”腕時計が誕生します。
この”自動巻き”は、手でゼンマイを巻く代わりに、腕時計内にある振り子(ローター)が振れてゼンマイを巻き上げて駆動します。
このように、機械式時計は塔ほどの大きさから、500~600年かけて小さくなっていき、現在の腕時計という形に進化してきた深い歴史があります。
2-2. 機械式腕時計のメリット
機械式最大のメリットは、分解修理が可能で、永続性が高い点にあります。
機械式はその名の通り、内部のムーブメントは細かい部品の組み合わせでできています。
そのため、故障しても部品の交換で修理することができます。
つまり、修理が可能ということは、永続性が高く、何世代にも渡って引き継ぐことができる可能性が高いということです。
事実、パテック・フィリップやIWCなど一部のブランドは、「自社製品であれば、永久に修理する」ことを謳っています。
そして、芸術性・趣味性が高い点も大きな魅力です。
精巧に作られた繊細な部品が、ピタリと噛み合わさって歯車を動かし、時を刻む。チチチチ…という鼓動感が心地良いです。
機械式時計誕生してから、数百年以上も改良が脈々と重ねられられて来た歴史の一片が、自分の腕に乗っていて、行く末は誰か大切な人に託す…。
そう考えるととてもロマンが溢れていると感じます。
これは、実際に機械式時計を所有してみないとなかなか感じることができないかもしれません。
私も友人も「所有してみて初めてその魅力が分かった」と皆が口にしています。
さらに、資産価値・リセールバリューが高い点も大きなメリットです。
一級品の機械式時計は、その永続性と芸術性の高さから、資産価値が高く、まさに“家宝”にもなり得ます。
さらに、ロレックスをはじめとする人気ブランドの売れ筋モデルになるとプレミア値が付き、何年使用していても、購入価格よりも売却価格が高くなり、利益が出るという現象も起こります。
このように、非常に高い永続性・芸術性・資産価値を持つのが機械式時計のメリットです。
2-3. 機械式腕時計のデメリット
一方で、機械式時計のデメリットもあります。
まず第一に、維持費が高いです。
機械式時計の内部は機械でできているので、クルマと同じように定期的にメンテナンスが必要です。そのための分解洗浄をオーバーホールといいます。
オーバーホールはおおよそ3~5年に一度必要になり、費用は5万円程度し、ハイブランドや複雑機構の時計になるとさらに高額になります。
第二に、クォーツ式ほど精度が高くないことが挙げられます。
クォーツ式腕時計の誤差は、およそ“月差”+/-15秒程度ですが、機械式腕時計は、およそ“日差”+/-15秒程度です。
もちろん、高額な機械式時計はさらに精度が良くなりますが、それでも日差+/-2秒程度です。
第三に、磁気や衝撃に弱いことも挙げられます。
機械式時計は、繊細な部品の集合体です。そして絶妙なバランスで成り立っているので、強い衝撃や磁気を帯びてしまうと故障の原因となります。
これらの弱点を克服した機械式時計もありますが、総じて、クォーツ式よりも時期や衝撃には弱い傾向にあります。
2-4. 機械式腕時計がおすすめなのはこんな人
3. クォーツ式腕時計とは?
歴史が浅く、比較的最近になって開発された方式の時計。
安く、丈夫で、大量生産できるため爆発的に世界に広がった。現在のほとんどの時計はこのクォーツ式です。
チッチッチッと1秒ごとに秒針が動くのが特徴です。
3-1. クォーツ式腕時計の歴史
クォーツ式時計の歴史は、機械式に比べるとかなり新しいです。
1880年、クォーツ(水晶)に一定の電圧を加えると、振動を発することがフランス人物理学者によって発見されました。
1927年、このクォーツの振動を活かした時計が、アメリカ人の研究者らによって、製作されました。しかし、その大きさはタンス程の大きさだったそうです。
それに目をつけたのが日本の「セイコー」です。セイコーはこのクォーツ式の時計を”腕時計サイズ”にする研究を開始します。
そして、1969年、世界で初のクォーツ式腕時計「アストロン」が誕生したのです。
時計の精度は内部機構の振動数で決まります。
そのため、世界中の時計ブランドは振動数を上げるために切磋琢磨し、機械式時計では、最高「10振動/秒」までたどり着いていました。
しかし、セイコーの「アストロン」は「30000振動/秒」というまさに“ケタ違い”の振動数と精度を叩き出したのです。
当時のアストロンの値段は45万円。大衆車「カローラ」と同じ値段であったと言います。
そこから、大量生産が可能になり、どんどんと安価になっていきました。
その結果、これまで高級品であった腕時計が、誰にでも持てる日用品として世界中で爆発的に広がりました。
日本のクォーツ式腕時計は、スイス勢の独壇場であった時計市場を侵食し、スイス勢は一気に衰退、廃業に追いやられるブランドが続出します。
再び機械式時計の復権が訪れる1990年頃までを「クォーツショック」あるいは「クォーツクライシス」と言います。
ちなみに、このセイコーの引き起こしたクォーツショックにより、スイス勢は結束を固め、生き残りをかけて大連立を組むことになりました。
3-2. クォーツ式腕時計のメリット
クォーツ式時計の最大のメリットは「維持費が安い」ところにあります。
そもそも購入価格の時点で安いものが多いのですが、電池交換は数千円程度でできます。
内部のパーツの数が少ないので、オーバーホールの周期もおおよそ7年で値段も数万円以下と、機械式時計に比べれば圧倒的に安く済みます。
そして、「精度が高い」ことも大きなメリットです。
先述した通り、振動数が圧倒的に高いクォーツ式は、月差+/-15秒という精度の高さを誇ります。
また、内部機構がシンプルなため、「磁気や衝撃に強い」です。
このように、クォーツ式時計は「安い・精確・強い」の三拍子が揃った優れた実用性を誇ります。
3-3. クォーツ式腕時計のデメリット
良いところがたくさんあるクォーツ式腕時計ですが、反面デメリットもあります。
まず第一に「永続性が低い」点が挙げられます。
クォーツ式時計は内部機構にICチップやステップモーターなど、電子部品が使われています。
これらの電子部品が壊れた場合、修理することは難しく、交換になります。
しかし、生産中止になって、交換パーツの在庫がなくなれば、交換もできなくなってしまいます。
そのため、どうしても「使い捨て」感が拭えません。
さらに、「資産価値が高くない」こともデメリットの一つです。
永続性が低いばかりでなく、芸術性や趣味性も機械式ほど高くないため、どうしても資産価値としては期待できないでしょう。
ただし、1969年の世界初のクォーツ時計などであれば、歴史的意義から資産価値は望めそうです。
また、パテック・フィリップやロレックスなどの有名高級ブランドでは、クォーツ式腕時計の展開が無いorレディースに限られている場合も多々あります。
そのため、憧れのブランドでクォーツ式が手に入らない可能性があります。
3-4. クォーツ式腕時計がおすすめなのはこんな人
4. まとめ
いかがだったでしょうか?
機械式、クォーツ式どちらもそれぞれ良いところがあり、一概にどちらが良いとは言えません。
大事なのは、「自身のライフスタイルに合った時計」を選ぶことです。
そうすることで、自然と時計と過ごす時間が長くなり、愛着が増し、「買ってよかった」と満足度が高くなります。
そのための参考として、このブログが活きれば嬉しいです。
個人的には、機械式時計を持ちつつ、アウトドアや作業、ジム用にG-SHOCKなどのクォーツ式を一本持っておくと、とても心強い存在になるのでおすすめです。
以下の動画で、今回の内容を映像で分かりやすく解説してます。
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ではまた!ありがとうございました。