『ラグジュアリースポーツウォッチって何?』『選ぶときのポイントは?』
こんな疑問をお持ちではないでしょうか?
そんな疑問を解決するため、この記事で【ラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)の選び方のポイントや歴史 おすすめのモデル10選】を解説します。
この記事を読めば、ラグスポの歴史から、選ぶときのポイント、おすすめのモデルまで全て知ることができます。
目次
1. ラグジュアリースポーツウォッチとは?
1-1. 特徴
ラグジュアリースポーツウォッチ(通称: ラグスポ)は、プラチナや金など、貴金属でしか時計を作らないようなクラスの時計ブランドが、頑丈なステンレススチールで時計を作ったことから誕生しました。
素材は基本的にステンレススチール、ある程度の防水性や頑丈さを備え、余計な機能は持たせず、シンプルに徹することによって薄さを実現しています。
つまり、薄くてエレガントだけど、頑丈でスポーティ。毎日使える万能な高級腕時計と言えます。
外見上の一番の特徴は、「ベゼル」にあります(ベゼルとは、風防(ガラス面)の周りに取り付けられるリング状の時計部品)。
ラグスポは、このベゼル幅が大きく、繊細な文字盤と針をガチっと守る分厚い壁のようにも見えます。
一方で、針やインデックスなどは細く繊細でドレッシーな場合が多く、スポーティさとドレッシーさを巧みに交ぜ合わせているデザインが特徴です。
文字盤の色は、基本的に「ブルー」が最も人気の傾向です。
他のジャンルでは、黒or白が人気なのですが、ラグスポには、ブルーの持つ「カジュアルでありながらも清楚、スポーティでありながらもエレガント」な雰囲気が、相性良くマッチしています。
また、ケースやブレスレットの仕上げにこだわりがあり、時計のパーツごとに異なる磨きをかけ、変化の出しにくい薄型の時計を、より立体的に美しく見せるように工夫が施されています。
1-2. 歴史
ラグスポの元祖、オーデマ・ピゲの「ロイヤルオーク」が誕生したのは、1972年のことです。
時計史において、極めて重要なこの歴史的一本は、天才時計デザイナー「ジェラルド・ジェンタ」氏のフルデザインの処女作としてデビューしました。
当時の時代背景は、
オメガの「スピードマスター」が月面着陸に帯同
ゼニスの世界初の自動巻きクロノグラフ「エルプリメロ」他が誕生
セイコーの世界初のクォーツ式時計「アストロン」が誕生
など(いずれも1969年)、時計業界にとって大きな変革の時でした。
ロイヤルオークはまさに時計の大変革期に誕生したのです。
ちなみに、ジェラルド・ジェンタの凄いところは、紙面上のデザインではなく、時計の機械的構造を熟知し、時計の様々な制約(薄さや着け心地、防水性や耐衝撃など)をクリアしたデザインを実現した点です。
さらに、一辺倒になりがちなステンレススチールを、より立体的に美しく魅せるために、仕上げ磨きの種類や方向までも指定していたと言います。
そして、今ほどに有名ではなかったジェラルド・ジェンタに全てを託し、彼の仕上げたコスト度外視&前例の無いデザインを、承認し実現したオーデマ・ピゲの経営陣も凄いと思います。
1976年には同じくジェラルド・ジェンタが手掛けたパテック・フィリップの「ノーチラス」が誕生。
1977年にはヴァシュロン・コンスタンタンからヨルグ・イゼック氏の手掛けた「222(現オーヴァーシーズの原型)」が誕生します。
1972年~1977年の5年間で、世界三大時計ブランドのラグジュアリースポーツウォッチが出そろいました。
それ以降、各社から同ジャンルの時計が発売され、現在では世界的トレンドのジャンルとなっています。
1-3. 個人的所感
「ラグジュアリーでスポーティ」というトレンドは、時計に限った話ではないと思います。
クルマ業界では、SUV人気が続いていますし、ファッション業界でも「スポーツMIX」が近年のトレンドですよね。
フィットネスやジムに通う人が増えていますし、インストラクターの方々がTVやSNSで人気を博しています。
時計業界においてこのトレンドが強まったのは2016年頃からではないかと、個人的な感覚では思っています。
このあたりから、ロレックスのステンレススポーツモデルや雲上ブランドのラグスポの値段が急騰し始めたと記憶しています。
なぜこのようなトレンドが生まれたかについては、様々な考察がありますが、いずれも最近のトレンドであるという見方が強いと思います。
その証拠に、ロイヤルオークはデビュー当時、「思ったよりも売れなかった」そうです。
「ラグジュアリーでスポーティ」なものが好まれる市場が、最近になってようやく追いついてきたという気がします。
さて、このラグスポ、個人的にはとても美味しいジャンルだと思います。
というのも、これ一本あれば、フォーマルスーツからカジュアル着、場合によっては水着にまでオールマイティーに合わせることができるからです。
これは、単なるスポーティブランドでは成せない技です。しかも、モデルによっては中古でも定価の何倍もの価格が着くので、資産価値も非常に高いです。
予算があり、「時計は一本あればいい」という方には、このジャンルの時計をぜひおすすめしたいです。
ラグスポはどんな服に似合うのか気になる方は、以下の記事もおすすめです。
2. ラグジュアリースポーツウォッチを選ぶときに見るべき3つのポイント
2-1. 文字盤の色
ラグスポは文字盤の色の展開が基本的に多彩です。
「黒」「白」はもちろん、「ブルー」や「グレー」などもあります。
色によって、人気度が違う→中古市場の値段が違う→資産価値が違うということが多々あります。
そのため、自分が欲しい色を買うのか、人気のある色を買うのか、納得いくまで検討することが必要です。
基本的に、このジャンルの特に人気のカラーは「ブルー」です。
ブルーの持つ「カジュアルでありながらも清楚、スポーティでありながらもエレガント」な雰囲気が、ラグスポの持つ雰囲気に絶妙にマッチしていますね。
「よりスポーティに着けたい」ならブラック、「よりドレッシーに着けたい」ならホワイトかシルバーが良いかと思います。
2-2. 防水性と耐磁性
ラグスポの良いところは、これ一本で様々なTPOに対応できる点です。
そのため、これ一本で過ごそうと考える方も多いでしょう。
しかし、本当にそれで大丈夫なのか?スペックを調べることをおすすめします。
具体的には、「防水性」や「耐磁性」です。
いくらあらゆるTOPに対応できるからと言って、無茶な使用をしていては壊れてしまいます。
自身のライフスタイルや行動範囲に照らし合わせて、時計のスペックが大丈夫かどうか検討してみてください。
また、ステンレススティールと言えども傷はついてしまいます。
せっかくハイクラスなブランドものをしていても、傷だらけでは格好がつかないと思います。
傷を消すにはポリッシュが必要ですが、それもやりすぎるとエッジが丸くなってしまい、魅力が半減してしまうので、手荒い使い方には注意が必要です。
たまに傷だらけくらいがかっこいいという人もいますが、個人的には、他のブランドでそれが似合っても、このクラスではないと思います。
2-3. サイズ
ラグスポには、基本的に2,3種類のサイズ展開がされています(例えばケース径 37mmと41mmなど)。
どのサイズが自分の腕にフィットしているか、試してみてから(できれば全身鏡で見てから)検討することをおすすめします。
3. ラグジュアリースポーツウォッチ おすすめベスト10
第1位: オーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク」
栄えある第一位は、やはり世界三大時計ブランドの一角オーデマ・ピゲから、「ロイヤルオーク」を挙げたいと思います。
上の歴史の項目でも書かせて頂いた通り、1972年に発表されたロイヤルオークこそが、ラグスポの原点です。
発売から現在まで50年弱経っていますが、初代と現代ではほとんどデザインの変更がありません。初めから完成されたデザインであり、タイムレスな時計です。
「ロイヤルオーク」という名前は、ジェラルド・ジェンタが着想を得たという英国駆逐艦ロイヤルオークの舷窓から来ています。
防水性は5気圧と、必要最低限ですので、強い雨や手洗いには気を付ける必要がありますが、通常生活の中では比較的安心できるスペックを備えており、薄さも10mm強と、シャツの袖の下に収まりが良いです。
また、その独特の研磨と仕上げで、ステンレススチールとは思えないほど煌びやかに輝きます。
歴史的意義、資産価値、ステータス性、質感、デザイン、汎用性などあらゆる面で最高レベルにバランスが取れている時計はごくわずかだと思います。
第2位: ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」
第2位は、260年以上途切れることなく時計を作り続けている世界最古の時計ブランドであり、世界三大時計ブランドの一角ヴァシュロン・コンスタンタンから、「オーヴァーシーズ」を選びました。
オーヴァーシーズのオリジンとも言われる、ステンレス製スポーツモデル「222」が発表されたのは、1977年のこと。
ドイツ人の著名時計デザイナーヨルグ・イゼック氏によるデザインでした。
そして正式に「オーヴァーシーズ」として発表されたのは1996年のことです。
その名の通り、「旅への誘い」をテーマとして「世界を飛び回る人へ向けたエレガントなトラベルウォッチ」として位置付けています。
そのため、初代・二代目オーヴァーシーズの裏蓋には、アメリゴ・ヴェスプッチ号が描かれていました。
2016年には、現行機となる三代目オーヴァーシーズが発表されます。
特徴的なベゼルの形やブレスレットの形は、同社のロゴである「マルタ十字」をモチーフにしています。
ちなみにこのマルタ十字は、聖ヨハネ騎士団の象徴であり「忠誠心、敬虔さ、率直さ、勇敢さ、名誉、死を恐れないこと、弱者の庇護、教会への敬意」という8つの騎士道を表していると言います。
私の考える、オーヴァーシーズの一番の強みは高い「実用性」と「耐久性」です。
飛行機に乗る際にの手荷物スキャンで磁気帯びをしないように、2万5000A/mの高い耐磁性を備え、防水性も150mを実現しています。
さらに、金属ベルトのほかにレザーベルトとラバーベルトが付属されており、シーンに応じて工具無しでワンタッチでベルトを交換することができます。
このように、高いスペックとベルト交換システムなどによるユーティリティの良さは、長く使う上で非常に重要な要素です。
また、ブルー文字盤の美しさは、すべての時計の中でも一番だと個人的には思います。
私は海で働いているのですが、現物を見た時に、太平洋のど真ん中で見た、深く澄んだコバルトブルーを思い出したほど美しい色だと思いました。
また、海繋がりで、22金のローターが、船乗りには欠かせないコンパスローズになっているのも、個人的にはグッときたポイントです。
高い実用性やユーティリティを求める方、ヴァシュロン・コンスタンタンという通なブランド性に魅力を感じる方におすすめの一本です。
第3位: パテック・フィリップ「ノーチラス」
誰もが認める世界最高の時計ブランドパテック・フィリップから、「ノーチラス」を第3位に選びました。
ノーチラスは1976年に発表されました。デザイナーはロイヤルオークと同じくジェラルド・ジェンタ氏です。
「ノーチラス」という名前は潜水艦ノーチラス号から来ており、その舷窓からデザインの着想を得たそうです。
以来、基本的なデザインはほぼ変わらず、わずかなモデルチェンジを繰り返しながら、現在まで続いています。
ノーチラスの強みは圧倒的なステータス性と資産価値の高さです。
定価は約300万円ですが、ロイヤルオークと同じく、正規店の店頭で買う事はほぼ不可能、予約すらも受け付けてもらえない状態です。
その結果、中古市場では価格が上昇し続け、約800~1000万円の間で推移しています。
まさに選ばれしものの時計、王様の時計といったところでしょうか。
もちろん、時計としての魅力も素晴らしいです。
ステンレススチールと言えども、さすがはパテック・フィリップ、本当に文字盤やケースなど細部に至るまで綺麗な仕上げを施しています。
ロイヤルオークはギラギラという眩い輝き方ですが、対してノーチラスはしっとりとした輝きというか、上品な輝き方をします。
このジャンルの人気カラーである「ブルー」がノーチラスにもあるのですが、ノーチラスの場合は、「ブルーグレー」というようなカラーになっています。
これは万年筆のインクで、最もフォーマルな色としても認知されているカラーです。
スポーティな中にも、フォーマルさを忘れないのは、さすがはパテック・フィリップだと思います。
また、防水性は120mと必要十分です。
厚さは何と8.5mmと、御三家の中でも圧倒的な薄さを実現しています。
これにより優れた装着性を実現させ、スーツやシャツの袖口にもスッと収めることができます。
高いステータスや資産価値、上品さや装着感を重要視される方におすすめの一本です。
第4位: ロレックス「エクスプローラー1」
工業製品の最高峰ブランドのロレックスから「エクスプローラー1」を第4位に入れたいと思います。
正直、”ラグジュアリースポーツウォッチ”というよりも普通の“3針スポーツウォッチ”と位置付けられると思うのですが、その値段は十分に”ラグジュアリー”であるためにここに区分しました。
エクスプローラー1が生まれたのは1950年代初期、第二次世界大戦を終えた世界、人類活動の領域を大きく広げた冒険の時代でした。
そんな時代の人類未踏の地の一つが、エベレスト山頂でした。ここにチャレンジするエドモンド・ヒラリー卿等の装備品としてロレックスは時計を「オイスターパーペチュアル」という時計を供給します。
無事にエドモンド・ヒラリー卿たちは登頂に成功し、ロレックスの時計も問題なく稼働していることが証明されました。
そのエベレスト人類初登頂を記念して1953年にできたのが、この「エクスプローラー1」です。
堅牢性・頑丈さ・精度・資産価値・知名度などあらゆる点でトップレベルの優秀さを持つロレックスの中でも、もっとも万能なユーティリティープレイヤーがこの「エクスプローラー1」だと思います。
スポーツモデルでありながら、極めてシンプルなため、通常レベルのスーツは問題なくいけます。カジュアルな私服にも相性抜群です。
その昔、キムタクがドラマでこの時計をしていて、日本中からこの時計が買い占められたというほどの売れ筋です。
サイズは現行機は39mm、2009年以前のものは36mmとなっています。
防水性は100mと必要十分、精度は日差+/-2秒以内を誇ります。
個人的に好きなのは、36mm径の「Ref. 114270」です。
資産価値が持続し、頑丈な時計、ユーティリティ性の高い時計が欲しい方におすすめの一本です。
第5位: ブレゲ「マリーン」
1775年に天才時計技師ルイ・ブレゲによって創業されたブレゲ。
ルイ・ブレゲは、世界初の腕時計や自動巻き機構、クロノグラフ、トゥールビヨンなど、今日では時計の常識となっている機構を次々に発明しました。
そのため、彼は「時計の歴史を2世紀早めた時計技師」「時計界のレオナルドダヴィンチ」と呼ばれています。
彼の顧客は歴史上の人物も多く、あのマリーアントワネットやナポレオン・ボナパルトも名を連ねています。
そんな偉大な創立者を持つブレゲのラグジュアリースポーツウォッチが「マリーン」です。
1990年にデビューした時計で、ブレゲの伝統的な特徴を継承しながらスポーティな腕時計となっています。
マリーン誕生の由来は、ブレゲがフランス海軍のマリン・クロノメーター(航海用精密時計)の制作に携わっていたことに由来します。
2004年には第二世代「マリーン 5517」が発表され、2018年には第三世代となる「マリーン 5817」が発表されています。
第二世代のマリーン5517にステンレススチール素材のものがあったのですが、第三世代のマリーン5817からはステンレススチールがなくなり、チタンかゴールド製のみとなっています。
マリーン5517やマリーン5817は、いずれも100m防水を確保し、サイズは39mmか40mmと非常に扱いやすいスペックを備えています。
加えて、コインエッジベゼルやブレゲ針など、ブレゲならではの特徴も楽しむことができます。
文字盤やローターなどのデザインは変更になりましたが、いずれも「波」や「船の舵輪」をイメージしており、その名の通り海をモチーフにしています。
このジャンルの時計の中では、特にクラシカルな雰囲気の漂う時計なので、よりクラシカルな時計が好きという方におすすめの一本です。
第6位: ショパール「アルパイン イーグル」
ジュエラーとしても名高いChopard(ショパール)から、2019年に発表された「アルパイン イーグル」を第6位に挙げたいと思います。
2019年発表という新作でありながら、この位置に来るのは本当にすごいことです。それくらい、現物を見た時に感動しました。
アルパインイーグルは、1980年に生み出した最初のステンレス時計「サンモリッツ」を現代的に解釈したモデルとのことです。
その特徴的な名前は、“アルプスの豊かな自然に対する情熱と、そこに生息するイーグル(ワシ)の圧倒的な力強さ“をモチーフに時計を作ったことに由来するようです。
まず文字盤の美しさが目に入ります。
特徴的な螺旋状の模様は、イーグルの眼を表しているとのことで、これがとてもカッコ良いです。水色に近いような淡いブルーからは、清楚感やフレッシュさを感じることができます。
インデックスも素晴らしいです。御三家はいずれもバーインデックスなのですが、このアルパインイーグルは、12,3,6,9がローマ数字になっており、高貴さを感じさせます。
しかし、インデックスの末端は、丸みを帯びさせることで、ポップさを残し、フォーマルとカジュアルのちょうど中間をとっているようで、見事なバランス調整だと感じました。
さらに日付表示は4時半位置にあり、文字盤のバランスを崩していません。これは個人的には嬉しいポイントです。
「ルーセント スティール A223」という高い光度と耐久性をもつケースに注目すると、太いラグに8本のビス止めが施されています。
これは、ラグジュアリースポーツウォッチのアイコンとも呼べるような特徴です。
ですが、1980年のサンモリッツにも同様の特徴があり、決して思いつきでデザインされたものではなく、歴史的な背景があることがわかります。
また、部位によって異なる磨きや仕上げが施されており、高級感と立体感を感じることができますが、これはゴールドと同じくらいの光度を持つ「ルーセント スティール A223」との組み合わせならではでしょう。
ムーブメントは、クロノメーター規格の自社製ムーブメントを備えている点も素晴らしいと思います。
ローターは22金を使用している御三家とはことなり、ステンレススチールですが、そうすることでコストを抑えていると考えれば、個人的には良い判断だと思います。
サイズ展開も41mmと36mmと王道戦略。文字盤カラーは今のところブルーとグレーですが、今後新色が出てくると思います。
スペック、サイズ、質感、価格そのどれも高レベルでバランスがとれており、非常に商品力が高い一本です。
御三家のラグジュアリースポーツウォッチがどれも200万円以上し、さらにすぐに正規店で購入できない状況を考えると、かなりおすすめの時計です。
第7位: ジャガールクルト「レベルソ」
超絶技術屋集団のジャガールクルトから、レベルソを第7位に選出しました。
いわゆる”ラグジュアリースポーツウォッチ的な”デザインではないのですが、その値段は十分にラグジュアリーであること、その出生はスポーツに関わっていることから、ここに区分しました。
ジャガールクルトと言えば、1833年の創業以来、数々の発明や特許、1000種類以上のムーブメントを製造し、あの世界三大時計の全てにムーブメントを供給していた程の真のマニファクチュールです。
その技術力の高さ故、時計だけではなく、「時計製造のための機械」における発明を繰り広げ、ミクロン単位を測定できる史上初の計器「ミリオノメーター」なども発明しています。
さらに発想も良い意味で変態的で、室内の気圧差だけで半永久的に動き続ける時計や、クオーツ時計のようにステップ運針する機械式時計など、他のメーカーには到底できない離れ業も持ち合わせています。
そんなジャガールクルトの中で、もっとも有名な時計が、この「レベルソ」です。
このレベルソは1931年、インド駐在中のイギリス将校から、ポロの競技中でもガラスが割れない時計が欲しいという依頼に応えて誕生しました。
当時のガラスの質は悪く、激しい衝撃があっては壊れてしまうものばかりでした。そこで、ジャガールクルトはなんと、文字盤を反転させることを思いつき、この「レベルソ」を開発したのです。
四角い時計(レクタンギュラー)といえば、男性はこの「レベルソ」、女性はカルティエの「タンク」を思い浮かべる人が多いかと思います。
レベルソの見た目の一番の特徴は、直線を基調とした造形ですが、これは、”アール・デコ”と呼ばれる新しい芸術の特徴です。
“アール・デコは1925年のパリ「アール・デコ展」(現代装飾美術・産業美術国際博覧会)を機に開花し、「世界で初めて世界を一周した芸術」などともいわれる、世界中を席巻した芸術です。
そしてそのアール・デコは、実はカルティエの創した様式であり、またアール・デコの主役はカルティエでした。レベルソが生まれたのは、1931年。
まさにカルティエの生み出したアールデコの影響を強く受けていたのだと思います。
レベルソは、反転できることを活かして、表と裏の両方に時計を付けて、二地点の時刻を見れるようにしたり、白文字盤と黒文字盤を昼と夜で使い分けたりすることができます。
また、裏面に時計がないシンプルなモデルもあり、そこに記念日やイニシャルを彫刻することもできます。
出生はスポーツウォッチでありながら、その控えめなデザインと雰囲気から、現在では「ドレスウォッチ」として考えられることも多く、スーツとの相性はばっちりです。
ジャガールクルトという生真面目なブランドの性格や、四角い時計の雰囲気から、「クラシカルで知的、真面目な時計好き」という印象を持たれやすいと思います(私はそう思ってしまいます)。
防水性は3気圧と必要最低限レベルですので、水には注意が必要です。サイズ展開やカラー展開が豊富なので、選ぶ楽しさもあると思います。
クラシカルで歴史のあるもの、玄人感の強いものが好きという方におすすめの一本です。
第8位: カルティエ「サントス ドゥ カルティエ」
パイロットウォッチの第4位にも入れた、カルティエ「サントス ドゥ カルティエ」を第8位に入れたいと思います。
「サントス」は、1904年にルイ・カルティエが友人であり飛行家のアルバート・サントスのために作った時計です。
そして、世界で初めてのメンズ腕時計でもあります。
そのため、パイロットウォッチと考えることもできますが、サントスは、太く頑丈なラグにビス留めという手法を用いており、これは現代のラグジュアリースポーツウォッチの定番手法そのものです。
したがって、ラグジュアリースポーツウォッチのジャンルにもカウントすることにしました。
サントスのデザインは当時からほとんど変更されていません。
1904年の設計当初から、太く頑丈なラグにビス留めという手法を用いており、100年以上たった今、人気を博している手法です。
その先見性とアイデアは、さすがは「宝石商の王、王の宝石商」と言われるカルティエだと思います。
数あるサントスの中でも、「サントス ドゥ カルティエ」は、必要十分な防水性(100m防水)とスポーティなプロポーションも備えています。
そして文字盤には、高貴なローマ数字を配し、クラシカルでありながらも現代的で、絶妙なバランスを実現しています。
さらにストラップもワンタッチで変える事ができ、タキシードからデニムまで合わせることができる守備範囲の広さは魅力的です。
まさに飛行服からタキシードまで着こなしていた、サントス・デュモンのように、これ一本で様々なTPOに合わせることができます。
他とは違う四角い時計が欲しい、歴史ある時計が欲しいという方にもおすすめです。
第9位: ウブロ「クラシックフュージョン」
1979年創業と、時計業界の中ではかなりの新参者でありながら、メキメキと頭角を現しているウブロから、「クラシックフュージョン」をランクインしたいと思います。
ウブロといえば「異なる素材とアイデアの融合」をテーマに時計を作り続け、その時計の多くは「革新的で前衛的」です。
そんなウブロで最もシンプルな時計が「クラシックフュージョン」です。
クラシックフュージョンの前身である「クラシック」は、1980年にデザインされています。
当時、セイコーの引き起こした「クオーツショック」によりスイスの時計ブランドが生き残りをかけて試行錯誤している時代でした。
あの世界三大時計ブランドをはじめ、名門時計ブランドもステンレススチールのスポーツウォッチを売り出している時代です。
そんな中に生まれた、ウブロのクラシックもやはりその影響を受けていると思わせるデザインです。
当時はゴールドにラバーベルトという高級時計としては異例の組み合わせで発表されました。
当時はあまり理解されなかったそうですが、今ではよくある組み合わせです。創業当時から“ウブロらしかった”ことが伺えます。
そんなクラシックのDNAを引き継ぎ、現代版にアップデートされたものが「クラシックフュージョン」です。
クラシックフュージョンはその名の通り、シンプルでクラシカルでありながらスポーティです。
さらに素材はチタンを使用し、非常に軽く、同社のアイコンでもあるラバーベルトと相まって、とても軽快です。
カラー展開や、素材展開、サイズ展開も豊富であり、非常に細かいニーズにまで応えることができます。選ぶ楽しさもあるでしょう。
防水性は5気圧と、必要最低限ですので、強い雨や手洗いには気を付ける必要がありますが、日常生活には問題ない範囲です。
個人的には、日本限定の「チタニウム・ブラック・シャイニー」が特にかっこいいと思いました。
ウブロはスポーツ選手やアーティスト、経営者など挑戦者そして成功者に愛されるブランドでもあります。
それは恐らく、ウブロの革新性や挑戦的な姿勢にシンパシーを感じているのかもしれません。
そういったウブロの姿勢が好きという方や、スポーティで軽快な時計が欲しいという方におすすめの一本です。
第10位: モーリス・ラクロア「アイコン」
ここまでかなり高額の時計ばかりラインナップしていましたが、このモーリス・ラクロアの「アイコン」は比較的手の届きやすい時計です。
モーリス・ラクロアは、1975年に創業された比較的新しいブランドです。
比較的低価格ながら、高品質の時計を作っているというイメージがあり、コスパの高い時計ブランドだと思います。
そんな同社の中心モデルがここで紹介する「アイコン」です。
アイコンオートマティックは、2018年に発表されました。
人気の「ラグジュアリースポーツ」のルックスでありながら、価格は良心的かつ高品質という事で、すぐに人気商品となりました。
文字盤は、美しいクル・ド・パリ装飾が施されており、光に当たると美しい表情を見せます。
サイズはケーズ径42mmで厚さは11mmという、王道のサイズ感です(最近になって、39mmサイズも発表)。
さらに防水性は200mと、このジャンルの中では随一の防水性を確保しています。
しかも、工具無しでワンタッチで金属ベルトと革ベルトを入れ替えることができる「イージーストラップ交換機能」が付いています。
これだけの機能を持ちながら、この価格で買えるというのは、相当にコスパが良いです。
ブランドにこだわらず、低価格でセンスの良い時計が欲しい、万能な時計が欲しいという方におすすめの一本です。
次点: ピアジェ「ポロ」, ベル&ロス「BR-05」, ブルガリ「オクト」, ジラールペラルゴ「ロレアート」
4. まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、近年世界的に流行している「ラグジュアリースポーツウォッチ」の解説と、おすすめベスト10を紹介しました。
ラグジュアリースポーツウォッチは非常に使い勝手が良く、スーツにも私服にも合わせやすいため、時計は1本あれば良いという方にもおすすめです。
世界的に流行が続いているので、今後もどんどん良作が出てきそうな予感もします。個人的にもぜひ一本は欲しいジャンルの時計です。
以下の動画で、今回の内容を映像で分かりやすく解説してます。
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